ツービートとして世に出る前のビートたけしと彼の師匠であった深見千三郎との関係を描いた映画。監督・脚本を務めた劇団ひとりはビートたけしを敬愛する信奉者の1人でもある。
もの凄い素敵な作品ですこれ。
あくまで舞台にこだわった結果時代に取り残され困窮していく深見師匠。その師匠を敬愛するもテレビという新しいステージで羽ばたくために浅草を去るたけし。この2人の根底にある変わらない師弟愛に後半ずっと泣いてた。
あの師匠が居たから今のたけしさんがあると思わせる、口は悪いけど粋な深見さんを演じた大泉洋の佇まいが優しい。対して、たけし役の柳楽優弥の憑依っぷりに本当にびっくり。ただのモノマネじゃなくて、若い頃のたけしさんてこんな感じじゃないかって観客に納得させる所作が自然で、やっぱ凄い役者さんだなと。
見る側の涙を絞り出す様なエモ過ぎるエンディングシーンはもちろんなんだけど、個人的には居酒屋で靴を渡すシーンが本当に泣けた。2人の関係性をもの凄いシンプルに描写してるし、前半のフックが効いてるからこれは堪らない。劇団ひとりってシナリオライターとしても一流だなと。
「笑われんじゃねえぞ、笑わせるんだよ」. . .最高のセリフです。