Masato

バズ・ライトイヤーのMasatoのレビュー・感想・評価

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)
3.1

トイ・ストーリーの主役バズ・ライトイヤーのスピンオフ作品。アンディがバズの玩具を買った理由となる映画を実際に映画化。

ピクサー映画なので映像の技術は一級品で、他のSF映画やゲームから引用してきたかのようなビジュアルや展開の多さはピクサーにしては斬新で面白かった。しかし、ストーリーに関しては個人的に気になる点が多くて残念。世界的に評判が悪くて興収が想定よりも少ないのがよく分かった。

まず、本作からピクサーとしては初のIMAX画角を採用した作品として、映像がいままでよりも更に磨きがかかって美しく綺麗で良かった。宇宙空間の広がり方はインターステラーのように広大に見えて最高。

名作のSF映画やゲームを彷彿とさせるビジュアルや展開が面白かった。インターステラーやスターウォーズ、HALO、スターシップ・トゥルーパーズ等が特に感じられた。予告編では序盤も序盤の部分しか出しておらず、話が思ってもいない方向へ広がっていく。そうした情報統制も想像とは違った楽しさがあったので良かった。あと、今だから思うことだけど、トップガンが頭をよぎりすぎてニヤニヤ。トップガン脳になりすぎた。

しかしながら、細かい部分で「これでいいのか?」と感じるような展開になっていて終始気になっていた。

まず、味方たちが失敗しすぎて足を引っ張りすぎること。これはテーマの「たとえ失敗をしたとしても、挫けずに前を向くこと」というものに繋がってくるとは言えど、大体の危機に瀕する展開が誰かしらのミスのせいで起こるので、ミスだけでこの物語の殆どが成り立ってしまっているというのが、人によってはナニコレ?って感じるところだと思う。

また、昨今のディズニーとピクサーにありがちなのだが、現代のコンテンツの消費の仕方を考えてか、短い時間にとにかく大量の展開を詰め込めるだけ詰め込んで矢継ぎ早に展開させるような作りにしているのが個人的には退屈に感じる。映画に緩急が無さすぎてのめり込めない。ラーヤが同様だった。(ソウルは大人向け、ミラベルはミュージカルで作風が異なるのでそこまででもない)

タレント吹替は思いの外良かった。鈴木亮平はクリエヴァ担当の中村悠一に声質が似ていたので良かったし、今田美桜や山内も上手で自然だった。


以下、微ネタバレ


敵となる相手の存在も少し疑問。というのも、SF設定として矛盾しているような?気がする。これは聞き逃しただけかもしれないのだが、本作は多元宇宙論を採用しているのか、単一の世界線を採用しているのか、途中から分からなくて疑問だった。

ラストのバズの決断もよく分からない。故郷に戻るかについての選択はバズだけのものではないだろうと個人的には思う。これも上記のテーマから飛躍して「失敗も成功も積み重なって今がある」というものに繋がるのだが、彼だけが独断で決めて終わるのも如何なものか。そもそも、故郷に帰れそうにないから住もうと思い始めた訳で、惑星は危険そのものでしかない。

ソウルフルワールドもレッサーパンダもルカも最高だったピクサーが…コレ?と思わざるを得ない残念な作品だった。僕がアンディだったら、バズは買わずにソックス買うね。
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