けだもの

ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODYのけだもののレビュー・感想・評価

3.0
アーティストの伝記映画のもはや王道とも言えるパターンをこの映画もしっかり踏襲している。
ホイットニー・ヒューストンはドラッグが原因で亡くなっているので、彼女の人生を追う上でそれを避けるわけにはいかないというのはわかる。
創作ではない実際の人生の歩みとしてそこに至ったのだから改変するわけにもいかないのも十分理解はしている。
でも、こう何度も人気に陰りが出てきて家族との不和から薬中アル中へという展開を何度も見せられると、さすがに飽きる。
異性運の無さに関しても同様。こちらはさすがにあまりに酷くて不憫ではあったが。親父お前さぁ……
ロビンとずっと一緒にいられたらもっと違う未来があったのかもしれないのに。
誰か中毒にならず家族とも円満で綺麗に引退した伝説的歌手はいないのか。探してきて映画化して欲しい。
それが無理なら『エルヴィス』のように魅せ方に工夫を求めたい。

ナオミ・アッキーの演技は見事。
世間知らずだけどエネルギッシュな10代から、酸いも甘いも嚙み分けて貫禄すらある40代まで、顔つきや仕草のみならず声色まで演じ分けている。
パフォーマンスも素晴らしいが、スーパーボウルでの国歌斉唱がフルではなかったのは悲しい。
なんで最初ちょっとカットしたの?
ホイットニーの母親シシー役のタマラ・チュニーと、プロデューサーを務めたクライヴ役のスタンリー・トゥッチが両者共に良いポジションにいて、名脇役と呼ぶに相応しい輝きっぷり。
あんなにもホイットニーを想っていた人達が身近にいたのにどうして悪い方にいってしまったんだろう。
けだもの

けだもの