2004年の公開当時は見応えのある、画期的なアニメだったんだろう。リアルな人間味を感じさせる作画も、映画のような洗練されたレイアウトも文句の付けようのないハイクオリティだ。
ただ、それだけに思ってしまう。
「これ実写でいいんじゃない?」
今の時代、このクオリティはハリウッド映画に溢れている。
そもそもの内容が、実際の時代を舞台にしたスチームファンタジーだ。尚更実写と親和性の高いストーリーになっている。
よりリアルな高いクオリティを追求した結果、技術の進歩により絵画が本物に取って代わられる。それってなんだかカメラが出回り始めた頃、肖像画家達が職を失った現象に似ている気がした。
お話も、これが大友克洋じゃなかったら感心してたと思う。でもAKIRAの直後に観てしまったので、テーマ性が自分たちの理解が行き届く範囲に降りてきてしまった事にガッカリした。
兎に角感心したのは煙。ボカしてCGにしか見えないものの、全て作画だという。生きてるような煙の数々は唯一無二だった。