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アウシュヴィッツ・レポートのxoのレビュー・感想・評価

2.7
全体的に地味ではあるし、殊更盛り上げたり情緒を刺激したりもしない。二人の脱走にサスペンスフルな要素は希薄。
それは取りも直さず"地に足がついた作劇"ってことでもある。ドギツい描写はないだけに子どもたち含め多くの人に勧められるものになっていると思う。

主人公たちの目的は助かることじゃない。伝えること。そのこと自体そうなんだけど、体制(システム)を動かすのは利他性だなとあらためて思った。
違う人種、立場、属性の人たちを"同じ人間"だって思えるか。最後の為政者たちの声が印象的。移民やマイノリティに対する差別、排他的な言動の根本にあるのは、"違う人間"への無理解とそれゆえの恐怖心だと思う。

今と比べるとはるかに人の命が軽んじられていた時代。当人も家族もどう思っていたんだろう。考えると張り裂けそうな想いに成る。心は同じだから。
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