空海花

スーパーノヴァの空海花のレビュー・感想・評価

スーパーノヴァ(2020年製作の映画)
3.7
七夕の夜に鑑賞🌌🎋

2人の名優
コリン・ファースとスタンリー・トゥッチ。
彼らの表現する大切な愛とそれ故の覚悟。

同じ思いで添い遂げるはずだった未来に病魔が忍び寄ると
途端に立場をも変えてしまう悲しい現実。

彼らの馴れ初めや、それぞれの過去は
映画では表現されない。
実際にも長年の友人である2人の演技は
彼らが長く信頼し合い、固く結ばれていたことを語らずに伝える。
ゲイカップルであることの支障はなく
多くの友人や家族に温かく包まれている。そこはごく自然にあることだというメッセージ。
代読のシーンが良かった。

キャンピングカーで交わされる会話
ピアニストと小説家の洒落た会話。
イギリスや北欧の音楽。
ベッドから落ちるコリンもだが
クスクス笑うスタンリーの仕草がかわいい。
際立つのはスタンリーの、夜空にロマンと人生を見出していることが取れる言葉。

スーパーノヴァ(超新星)
星の進化の最後に起こる巨大な爆発。
明るく輝き、死を目前にしているそれに繋がる。

実は予告編で泣いてしまったくらい
美しい作品が愛を語る。
演技と思えない演技
イギリスの湖水地方、その風景もすばらしく、いつまでもキャンピングカーを走らせたくなるような地平と
望遠鏡で覗く星空。

自分のちっぽけさを知ることは
時に心を慰める。
宇宙の果てしなさを知っている彼らには
少しでも助けになったと信じたい。
そして愛も宇宙のように壮大なものなのだと。

予告編、観てない方はそのまま劇場に行くことをすすめます。


以下ネタバレ含む感想⚠️



2人の会話が流れを紡ぐが
2人はそれぞれで悩んで、
自身で選択、決断をする。
苦悩は察せられるがそれほど見せない。
長く考えてきたことはわかる。
これだけ連れ添ってきた彼らが
ここをもっと話し合わなかったことは
少し違和感を感じたが、
観る者に考えさせる結末なのは
やはり互いに自分で決めなければならないからか。
友情と愛情の長い関係だからなのかもしれない。
いずれかの立場になったとき
どんな選択があるのか
考えなければならない。
サムが遠ざかっていたピアノの演奏
演奏会に託したタスカーの想い
コリン・ファースが実際に奏でる
エルガー「愛の挨拶」
ここに多くの想いが集結しているのだと思う。

シナリオは悪くないが、構成は練られてないように感じた。
スーパーノヴァ、生命の爆発と輝き、
大きなエネルギーを周囲に遺していくが、
ごく近くで起こった場合の破壊力は計り知れない。
タイトルでそんなことを考えてしまい
実はそれが邪魔になってしまった。


2021レビュー#127
2021鑑賞No.276/劇場鑑賞#32


星とSF好きだから…
空海花

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