山本Q

ウォンカとチョコレート工場のはじまりの山本Qのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

予告編がやたらと楽しそうと思ったら、監督がパディントンシリーズのポール・キングさん!
絶対見る!鼻息も荒く意気込んでいたけど年末のスケジュールが不安定!IMAXが間に合わなかったナポレオンの反省活かして週明けに早速劇場へGO!

ティム・バートンはファンなのでデップ出演作は見てる。ロアルドダールはゼメキスの「魔女がいっぱい」が面白くてびっくりして以降ちょいちょい読んでいる。奇妙なお話運びや世界観のオリジナリティに痺れる。



映画は最高だった。
ティモシー・シャラメの良ささが相変わらず微塵もわからないのに、これだけ楽しいんだからシャラメ好きにはイカほどか。羨ましい。ティム・バートン版や予告編の先入観からエキセントリックなウォンカを愛でる流れかと思ったら、チームでの展開で意外。奇矯でで孤高なウォンカだけど仲間がいて寂しくなくて心から楽しめた。

映画は子供向け的なミュージカルだったのを知らなかった。ウイリーがいきなり歌い出しちょっとびっくり。やはりバートンのイメージに引っ張られてた。音楽はサントラが欲しくなるほど印象的な感じはしなかったけそ、要所要所ではやはり盛り上がるし多幸感も味わえる。風船で飛び上がり屋根の上で踊るシーンや路上での幾つかのシーンも良かったけど、1番好きだったのは警察署長買収シーン。曲というか、買収という腹黒さと、買収をチョコで行う可愛さのギャップが良かった。悪役3人の笑顔も何故かワクワクしてとても魅力的だった。みんなおじさんばっかりなのに。自分がおじさんだから?

作品のビジュアルも文句無しに素敵だったけど、際立つのはやはり脚本の出来だと思う。シンプルだけど密度は高い。不快な要素も楽しく見れるようになっているのが凄い。警察署長が短期間に太ってゆく様子も怖いっちゃ怖い。残酷なハズの事象が楽しく伝わるロアルド・ダールテイスト。登場人物も相変わらず魅力的で、雑に扱われてる人が少ない印象。監督は舞台出身だろうか。

良く考えると不思議なリアリティも面白かった。何でもアリのウイリーなのに上手く行かなくてトラブルに合うバランスが独特で納得もできるのが面白い。児童書ならではだろうか。主眼が「仲間たちと頑張る」にフォーカスされ続けているから気にならないのかな。

チョコを食べると電話を掛けたくなる守衛のアイデアなど、一面白で終わらせず、二点三点と追加得点に繋げてゆく執念深さは見習いたい。

キャストはパディントンシリーズからの役者も多く、パディントンの続編を見ているような気がしてしまうくらい。
オリビア・コールマンも今まではオスカー女優がやる役では無さそうだけど、もう本当に宿屋の嫌な人にしか思えないし何より楽しそうで良かった。
サリー・ホーキンスはお話の流れ上出てきたら泣いちゃうんだろうなと構えていても出てきたらやっぱり泣けた。お母さんの存在が少ないけれども積み上がってる。
Mrビーンを経た身としてはローワンアトキンソンの破壊力が半端無い。どうしてもとんでも無いことをやらかしそうな不安に駆られてしまう。が、劇中ではもちろんちゃんとしてた。役にはバッチリハマっててさすが感。

ポール監督は、パディントンで原作ファンも新規のお客さんも満足させ興行的にも結果を出すという手腕がやっぱりすごい。昔からあるコンテンツの権利を持ってる会社からすると救世主のように見えると思う。
今作も楽しかったので、ぜひ成績を残して次に繋げていただきたい。
山本Q

山本Q