むらむら

SNS-少女たちの10日間-のむらむらのレビュー・感想・評価

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)
5.0
「デブとハゲは悪! イケメンは正義!」

という主張に満ち満ちたチェコのドキュメンタリー。

3人の童顔に見える成人女性に12才と年齢を偽らせ、SNSのアカウントを開設。部屋のセットまで作り込んで、10日間で何が起こるかを実験。

何が起こるか……って、ほとんど予想できてしまうのだが、その予想が面白いほど当たってしまった。

10日間でアプローチしてきた男たちは総勢2500名弱。……俺のツイッター、100回つぶやいてもフォロワーゼロだったのに、何この人気の差!? チクショー!(コウメ太夫風に)

だが、実際アプローチしてきた男たちの実態を見せられると、そんな嫉妬心は霧散した。

続々と登場するのは、モザイク越しにでも分かるキモいオッサンたち。

ハゲ、デブ、キモオタ。

「ハァハァ……オッパイみせて……」と画面越しに迫るオッサン。

少女たちにコールしてくる時点で、すでに「アムロ、いきまーす!」状態で股間のミニレバーを操作してる状態のオッサン。オッサン、モザイクごしにも、モビルスーツ着たままだって分かっちゃうよ!

それにしても、なぜここに登場するオッサンたちは、ቻンቻンを見せたがるのか。俺は露出癖ないので、不思議で仕方がない。

タイトル「SNS」よりも「チンコランド」とかでも良かったんじゃないの。アカデミー賞とれそうだし。

そんなにㄘんㄘん見せたいんだったら、皆でサウナでも経営して、仲良く見せ合いっこでもしてれば良いのに。

それはさておき、ちょっとネタバレになるのだが、アプローチしてきた数千人のうちに、ごく稀に

「ボクは楽しく女の子と会話したくてコンタクトしたのさ!」

って天使みたいな人がいる。砂漠で砂金を探すような確率なのだが、全く下心なく、天真爛漫に語りかける若者の良い人っぷりに、思わず涙ぐんでしまう少女。

しかもこの天使、めっちゃイケメン。

いや、性格イケメンで、顔もイケメンだから、こんな天使になれるんやん! つか、実際はこんな天使みたいな人が一番危ないんじゃ! って、キモオタニートな俺としては叫びたくなったのだが、そうはならず、イケメンは最後までイケメンのママ。くっ、結局イケメンは正義かよ! チクショー!(コウメ太夫風に)

気を取り直して。

この作品で繰り返し語られているように、未成年の少女を毒牙にかけるオッサンたちは許せない。死ねばいい。

なんだけど、何人も何人も観ていると、この人たちも病んでるように感じられて、暗澹たる気分にさせられる。

監督は正義マン気取りで「これがチェコの実態です!」みたいなドヤ顔して、オッサンの一人を糾弾。少女たちからも「死ねよブサイク(とは言ってませんが、そのような言葉)!」みたいに責め立てられる。

いや、たしかに良い年したオッサンが少女にコンタクトしてるのは病気だし、糾弾されて当然だけどさ、こんな露悪的な作品撮ってるキミらだって同じくらい病気やん。

俺だって言う資格ないけどさ。こんなの放置してるSNSプラットフォームとか、他にも責められるべき存在はいるよね? オッサン一人を吊し上げたら解決する問題じゃないよね?

中学生の頃、一人で自転車旅行してて、知らないオッサンに夜の駅で声をかけられたことがある。「家に来ない?」って誘われたんだけど、今思えば、ついていかなくて良かった。

世の中は少女にも少年にも、大人にも危険が満ち溢れている。チャンスもある。用心して生きるに越したことはないが、人を信じることも同じくらい大事。単純に「ネットは危険」「知らない人には付いていかない」だけでは片付けられないような気もする。

そのバランスを取るにはどうすればいいんだろう。

この作品自体のメッセージは単純すぎるように感じるが、そのことについて考えさせられるキッカケにはなる。文部科学省推薦にして良い作品だと思います。

結論、㍉㍑㌢㌧㌢㌧ (←下だけ読む)の印象が大きく残った。

俺は出来ればオッサンたちがቻンቻンを見せる殺伐とした世界ではなく、お姉さんたちがマンマンを見せる幸福な世界で生きていきたいです。 次回作はそんな作品を!
むらむら

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