dm10forever

スプートニクのdm10foreverのレビュー・感想・評価

スプートニク(2020年製作の映画)
3.6
【もしかして・・・】

男「ダイヤルは見える。しかしシグナルははっきりしない。もう何も見えない」
女「私が右手で支えています。こうすればバランスは保てます。今のうちに窓から外を見てください。あれを見てください!」
男「・・何だあれは?何かがある!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・
男「・・・もし我々が帰れなくても、世界は何も知ることはないだろう」
<ラジオの音声>
『只今モスクワ時間で午前8時です』

・・・これ、知ってる方います?
これは1961年2月17日にソ連から打ち上げられた「コラブリ・スプートニク号」というロケットから発せられたとされる実際の音声(会話)の内容なんです。

ん?ちょっとまって?宇宙から?
確か、人類初の有人宇宙飛行って1961年4月に打ち上げられたガガーリン(ボストーク宇宙船)じゃなかったっけ?

・・・そうなんです。
実は「コラブリ・スプートニク」はソ連内でも極秘裏に打ち上げられた「有人ロケット」だったんですね。つまり「実験」です。
本来「スプートニク計画」は有人宇宙飛行のための実験が目的で、搭載されていたのはあくまでも動物(ライカ犬等)やマネキンだったと公表されていますが、実際はそうではなかった・・・。

で、やっぱりこんなもの打ち上げたら、いくら極秘でも各国のレーダーに簡単に引っかかるわけですよ。
当然、全てを隠し切れなくなったソ連は「無人探査機の打ち上げに成功した」という談話だけを発表して事態を沈静化させようとします。

ところが、案の定というかやっぱりというか、計画は見事に失敗し「コラブリ・スプートニク号」が地球に帰還することはありませんでした。
そして「まぁ無人機ならさほど大きな問題でもないだろう・・・・」っていう空気が世界中に流れたタイミングでキャッチされたのが先の音声だったんです。

・・・これ、めちゃくちゃ怖くないです?

ソ連側は頑なに「録音テープだ」って言い張ったんですが、それにしちゃ随分生々しいやりとりが残っていたものだと・・・。
そして男性が叫んだ、その「何か」とは一体・・・。

――この作品自体は、いわゆる「ちょっと物足りない午後ロータイプのB級SF映画」っていう感じなんですね。
それ自体は否定しない。
なので、すでに「ID:4」や「スターシップ・トゥルーパーズ」な「マーズアタック」なんかで目が肥えてる皆さんからすれば、単体で観てもそれほど「おぉ!」とはならない部類の作品だとは思います。
ぶっちゃけ、僕自身もこの映画だけならそれほど目新しい何かを感じたわけでもありませんし・・・。
でも「スプートニク」という名前が持つ意味を重ねてもう一度この作品の事を考えると、ちょっぴり得体の知れない「何か」がリアルにチラついてくるんですよね。

「スプートニク」・・・本来の意味としては『付随するもの』となるそうですが、それが転じてソ連では「人工衛星」という意味合いで使われるようになったそうです。

<付随するもの>

「スプートニク計画」の目的はあくまでも実験結果を地球に持ち帰ることであり、衛星として宇宙に滞在するというものではありませんでした。
そこに「スプートニク(付随するもの)」という名前をつけた真意とは・・・。

≪男「・・何だあれは?何かがある!!」≫

彼は一体何を見たのでしょうか・・・・。
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