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Arc アークのSHIMABOOのレビュー・感想・評価

Arc アーク(2021年製作の映画)
1.0
 死ぬほど退屈だった。

 「SFは絵である」という基準でいうなら、この映画は0点どころかマイナス100点ぐらいは叩き出してるんじゃないか?映像は頑として語らず、登場人物たちが何の面白みもないモダニズムで固められた無味乾燥な建物のなかで立ちつくし、或いは座って陳腐な言葉を吐き続けるだけ。プロダクションデザインにも全くこだわりを感じない。プラスティネーション(そもそもこの名前どーなのよ)の人形も、ハッキリいって『ブレードランナー2049』前半、歴代ネクサスシリーズの並んだ回廊のシーン(わずか数十秒!)に遠く及ばない。

 そもそも、SFで不老不死というテーマを扱うなら、「永遠を生きるものの孤独」を描くことは必須ではないのか?歳とっても孫と子供に囲まれて、そんで捨てた息子が死んだから死にますって…そんなことは十分普通の映画でもありうるだろうがよ。SFの醍醐味である思考実験としても失格。こんな駄作に二時間費やすぐらいなら、星新一の(同じテーマである)短編を読んだ方が100倍マシ(タイトルは失念した。スマン)。

 ひとことでいうなら、典型的な脚本家または俳優の自己陶酔型映画(@前田有一)。または、典型的な「アパートを出たり入ったり日本映画」(@押井守)。いずれにしても唾棄すべき、そして積極的に興行妨害すべき(<それは言い過ぎか)映画であることは間違いない。
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