窓に貼られた綺麗なステンドグラスにさえ気を配る必要がある程の緊張感。ここで何が行われるのかは知っていても、着地点が何処なのかは誰にも分からない。「私は言うことが出来るだろうか」···不安と緊迫感の中対峙する彼らのやり取りを、私も息を潜めて見守った。
学校内で起きた高校生による銃乱射事件。その被害者両親と加害者両親が、テーブルを挟んで対峙する···そのシチュエーションが凄いなと、単純に思った。自分がどちらの立場でも、相対するなんて出来るだろうかと思う。苦しみ続けることを、哀しみ続けることを、終わりにしたいと願ったとしても。
なぜ事件は起きたのか。予兆はなかったのか。防ぐことは出来たんじゃないか。捜査で裁判で報道で、この6年の間に色んな情報が出て、事件が起こった理由の後付けがなされてきたと思う。それでも、エヴァンを亡くしたジェイとゲイルは、ヘイデンの親であるリチャードとリンダに、なぜを求める。でもそれを知りたいのは、リチャードもリンダも同じ。例え親であっても、亡くなったヘイデンの気持ちを代弁することは出来ない。誰も分からない答えを、それでも求めてしまう···本当にやりきれないなと思った。
会話だけで語られる犯行時の状況、凄惨な現場、ヘイデンとの想い出、エヴァンとの想い出。互いに感情を爆発させながら、互いの心のうちをさらけ出していった4人。その別れ際、ふたりの母親が流した涙に、人は人を赦すことが出来ると、私も救われた思いだった。
#17_2023
