開明獣

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイドの開明獣のレビュー・感想・評価

5.0
今話題のchatGPT、触ったことあります?無償版のwebの3.5をスマホに落として時々暇つぶししています。実はこやつ、すんごい嘘つきなんですよー😔ついこの間も、「歴史を学ぶのにオススメの本を3冊教えて」と聞いたら、1冊、この世には存在しない本を挙げてきました😨それを問いただすと、しれっと、「すみません、間違えました!」と返してくるんです。AIはプログラムだから、倫理観なんて当然なくて、悪いなんて思ってないんですが、集合知がベースの他律型のAIは今のところは、こんなものだということが分かる好例なのです。ところがchatGPTは万能だと誤解してる人も多いんですよねー💦

集合知とは、雑に言うと、データが多いと正解の近似値に近くなる、という発想です。ある本に出てた例のパクリを紹介しましょう。ガラスの瓶に341個のスーパーボールを入れます。それを10人、30人、100人、500人・・・と、観る人に数を推測させて、その平均値を見ていくと、人数が多ければ多いほど、正解に近づいていくというものです。要するに、大量のデータから正解に近いものを提示する、のが今のAIのベースと言ってもあながち間違いではないのです。でも、あくまで近似値ですし、もっと複雑なことに対応させるとなると、与えるデータの方が問題になってきます。データの与え方が間違ってたり、与えるデータに不備があると、スコーンと間違ったアウトプットを出してきます。なのに、この間も就活生らしき若人が電車で会話してました。

「chatGPTすごくなーい!なんでも答えてくれるよねー。」
「もー、私たちとか将来いらなくなっちゃうのかなー?」

そう、この二人はchatGPTの答えが必ずしも正しいとは限らないことを知らないのですね。基本はネットに流れてる情報を食わせていくわけですが、ネットには膨大なウソ情報が氾濫しています。それを検証する手間と作業は膨大なものになるから、どうしたってノイズとしてニセ情報は残るわけです。だから、chatGPTの答えは鵜呑みにしないで検証しないと使いものにならないんです。映画の考察サイトと同じですね💦

そして人生のパートナーなってくれるような完璧なアンドロイドを作るとなると、与えるデータもさることながら、精神分析学や心理学が今よりも発達・進化した形になってないと実現は難しいでしょう。現時点での精神分析学も心理学も、実証主義的な観点からは、他分野と比して科学というには劣った分野だからです。余談ながら、そんな状況を日本の精神分析学の第一人者、斎藤環氏は、「精神分析学はじわじわと死んでいる」と嘆いていたりします😔

それでも、未来には自律型のAIを搭載し、人間の感情をもっと正確に推し量ることの出来るアンドロイドが登場してくるかもしれません。いや、してくることでしょう。本作は、そんな性生活も含めた伴侶となってくれるアンドロイドと、実験として共に過ごすことになった、ある女性博士の物語😌

同じアンドロイドを扱った、アレックス・ガーランド監督の「エクス・マキナ」や、コゴナダ監督の「アフター・ヤン」とも違った、男女の愛に焦点を当てた作品です❤️

あくまでもプログラムされた愛。愛とは主体的なものなのか、それとも相対的なものなのか。古今東西、様々な視点から描かれてきた、「愛とはなにか」の主題が、近未来テクノロジーの発展と共に問われています。

実はここから抽出されうる問題やら何やらは膨大で、最初のレビューは、ものすごい量になってしまい、随分カットしたんですが、それでもこんなに長くなってしまいました💦それだけ思考対象となる作品だと、開明獣は勝手に思っています😌

いかにも、"ドイチェ"な香りのする作品で、それも素敵なんですが、この作品に満点をつけた理由は、とても"詩的"だからです😊ラストの情感は、アンドロイドを扱ってるのに、SFというより、ヒューマンドラマチックな感興をそそるものでした🥳
開明獣

開明獣