みゆう

ボーはおそれているのみゆうのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

いやほんと、怖くは全然ないし、もはやギャグ。そういう意味でめっちゃ笑える。ホアキン・フェニックスがとにかくかわいそうで笑える。

ボウの身に怒るさまざまなことが、現実なのか妄想なのか分からず、ボウと一緒になって意味のわからない世界を彷徨う感じだった。1番怖いところは、最初のシーンの精神異常者みたいなスキンヘッドで目が真っ暗な人がボウを追いかけてくるところ。あれは誰でも怖い。あと、全裸の人がナイフ持って襲撃してくるのとか、常識から外れた行動をしてくる人たちとの対峙がホラー。常識外れの人が次にどんな行動を取るか分からなくて怖い。

個性的すぎる人たちばかり登場して、いちいち笑いどころある。自宅のお風呂の天井に張り付いてた人とか、半裸で延々サンバか何かのパフォーマンスし続ける人とか。パフォーマンスの人は、ボウの自宅で勝手にパーティーしてるところでも相変わらず踊り続けててツボだった。ツッコミどころ満載。

ずっと隠し通されてきたお父さんが、結局何だったのか。アレは元は人?妄想?現実?でも、しっかりボウに遺伝してるんだね笑というか、お母さんはアレとどうやったんだろう…色々謎。というか、掘り下げるところではないけど。

カメラワークとかキャラや演出は、今までのアリ・アスターらしいものだったけど、ストーリーは前2作より分かりづらいというか、理解はできない。だから、コケてるんだろうね。納得。前2作は分かりやすかったんだな。

毒親のお母さん出てきてから、なんかヨルゴス・ランティモスの「籠の中の乙女」にちょっと通ずるところあるなと思った。自分の理想に育てたいとことか。ボウのお母さんは、子どものために自分を犠牲にとか子どもを大切にとかいうより、全部結局は自分のため、子どもを通して自分の得のために、自分が正しいことの証明みたいな、"自分のための子ども"扱いでボウを育てた毒親だった。そうして育てられたボウ自身も自分で気づかないうちに普通の感覚とは違う価値観で育ったっぽい感じ。ラストはお母さんに勝てなかったね。

ギャグとして観ると面白い。改めてもっかい見るとまた色々見えてくるかも。
みゆう

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