開明獣

ヘカテ デジタルリマスター版の開明獣のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

以下は開明獣の妄想オナニーレビューなので、全く当てになりません。ただ、現代の視点から過去の名作を解体して読み解く試みをしてみたいと、アタオカがイキってるだけです💦また、ネタバレはタコメーターぶち切る勢いで噴出しているので、未見の方は要注意でござる😑長いので、本作に興味のない方はスルーが賢明でおじゃふー👳‍♂️

フランスの外交官、ロシェルは、アフリカのとある国(フランス🇫🇷だからアルジェリア🇩🇿かな?)に赴任してくる。このロシェルが、フランスの当時の植民地政策をまさに体現しているような酷い人物。

ピュアホワイトのサマーウールのダブルの6つボタンのスーツに、生成りのシャツ、ベージュと紺のレジメンタルのタイ、白と茶のコンビのウイングチップに茶のベルト。とどめはパナマ帽と、いなせでダンディな出立ちで着任😮日本人がやったら、ヤクザか芸人にしか見えないが、コケイジョンにはよく似合う。が、とても赴任する服装には見えない。

これが欧州のどこかの国に赴任なら、間違いなく、黒か濃紺のスーツに白のシャツに単色のタイ、足元は黒のプレーントゥか、せいぜいストレートチップだったろう。要するに、リゾート気分での着任なのである😑現地で乗り回している単車も真っ赤な塗装の英国車(BSAかトライアンフか?)で、遊び気分は野村萬斎🏍️

ロシェルは業務には全く関心はない。現地の人たちの生活にも全く関心がない。彼らがどうなろうが、知ったこっちゃなく、書類にサインするだけだ。その業務すら、放り出して、長身痩躯のブロンドのコケティッシュな人妻と情事に耽って、1週間も平気で無断欠勤をする😳

上司もいい加減の極みのような男で、ただただ何もせずに事態を傍観しているだけ。現地の少年少女が奴隷のように身体を売られていても、何もしない。フランス🇫🇷の植民地政策の杜撰さがよく浮き彫りにされている。

ロシェルは、人妻のクロチルドに入れ上げるが、クロチルドは、ロシェルの前から姿を消す。仕事など二の次で狂ったようにクロチルドを探すロシェル。探し出して、暴行を加える。結局、八つ当たり的に、地元の少年を強引にレイプするなど、行動は狂気を極め、流石に任を解かれるが、二次大戦時末期には、中立国スイスでのフランス大使にまで上り詰めていく。

これが何を意味するかというと、ロシェルはナチの協力者だったということだ。ナチス支配下の傀儡政権、ビシー政権では、特に外交官は親ナチスでなければ登用されることはなかったからだ。

戦争で空爆を受けるシーンがうつる。戦時下の厳しい表情の民衆が映る。食糧も配給制で、市民がひもじい思いをする中、ロシェルは妻を娶り、豪奢な生活を享受する。市民の苦しい生活もどこ吹く風、シャンパンにキャビアと贅沢三昧な様が描かれる。

最後にクロチルドに再開するロシェル。ロシェルは、クロチルドに問う。君は何を考えているのだ、と。クロチルドは「何も考えてない」と答えて、ロシェルの前から姿を消す。クロチルドはロシェルの鏡だ。冥府の女神の瞳に映ったのは、他人の人生や社会などに全く興味を持たない空っぽの男だった。ロシェルこそが、何も考えてない、エピキュリアンとして、唾棄すべきナチスにすら身を捧げた蔑むべき男として描かれている。

原作者のポール・モランは外交官の経験をもとにして、本作の原作を書き上げベストセラーとなったが、2次大戦中に親ナチスで協力者だったということで、フランスを追われてスイスに亡命していた。モラン=ロシェルという見方を、ダニエル・シュミットがしたとしてもおかしくはない。ほぼ戦後にスイスで産まれてドイツで学んだシュミットは、フランス🇫🇷の二次大戦中の悪虐な行為をロシェルという、モランの影武者を通して描いてもいる気がした。

直接的には、戦時下でファム・ファタールと出会った悲劇と見える。だが、ロシェルを全く共感出来ない人物に描き、かつ、他の戦時下の映像が織り込まれていることから、当時のフランス政権批判が裏に隠されていると感じたものだ。

スイス人のダニエル・シュミットだからこそ成し得た作品ではないだろうか。
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