『ロミオが星に願ったのは、隠れて会うことじゃない』
試写会にて鑑賞しました。
東西冷戦真っ只中、70年代後半のエストニアを舞台に描かれる回想録。エストニアでは、この作品をきっかけに同性婚法が制定されたというのだから驚き。社会を動かした一作ですね。
同性愛がテーマの作品は多く存在しますが、今作はマイノリティの社会問題としてではなく、あくまで純愛映画としてクラシックに描ききっているところが好きです。
異性愛以外は禁止されていた70年代の同性愛、という悲恋になりそうな題材にも関わらず、古典的な美しい作品に仕上がっているのは、回想録をもとに作られているからでしょうか。
激しい恋、しかしそれゆえに重層化する悲劇。つくりが詩的すぎる。ロミジュリじゃん。
海や森など自然の切り取り方も素敵で、ギリシア的な映像美に陶然とします。
物語と情景も相まって、どことなく『君の名前で僕を呼んで』を思い出しました。ヨーロッパの避暑地はどの作品見ても美しいので、死ぬまでに一度行ってみたい場所の一つです。
悲しくも救われるラストが眩い。
現代だからこそ描けた作品なのだと強く感じました。たった50年前なんですけどね。