描かれた時間と物語の時間の差をどう埋めるのかという問題。映画の上では100分でも、物語上は1年以上の月日が流れている。
ぼくはこの2人に時間経過を感じなかった。
付き合うでもなく離れる訳でもない、半端な距離感であり続ける2人にとって、1年という月日は決して短くないはずだ。
時間経過の差を出来事で埋めるのは難しく、2人の間の余白が大事なのだと思う。
特になんの意味ももたらさない5分が、
数年の月日を埋める。この映画にはそれが足りないように感じた。
せっかくの田舎町なのに、今ひとつ効果的に町が描けていなかったのも、余白のなさに繋がってると思う。
一方で磯部の抱えた闇は、描写から十分に伝わってくる。小梅と磯部の物語よりも磯部個人の物語の印象の方が強かった。
映画は強い感情表出じゃ無い方が、かえって伝わるところがある。
出力に頼ってしまっているところも、伝わるべきポイントがズレる要因だったのかもしれない。
中田青渚を見たくてこの映画を観たのだけど、今回もとても良かった。
彼女の「下げない芝居」が、アンニュイになりやすいこの手の映画のテンションのバランスを保っていた。