噛む力がまるでない

バッド・デイズの噛む力がまるでないのネタバレレビュー・内容・結末

バッド・デイズ(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 DVDのジャケットはかなり振りかぶったものになっているが、実際見てみると一風変わったアクションコメディで、派手さはないもののかなり芯がある。

 巻き込まれ型……と言うべきか、主人公のダニエルにも騒動の原因の一端があり、彼自体もけっこうどうしようもない感じの男であまり感情移入しにくい造形だとは思う。そこを劇中のパートナーとなるエリカがうまく機能しいていて、やりとりの中でちょっとずつチャームが出てくる。
 エリカは時代遅れのシステムでは罰することのできない罪人に私的制裁を加えているアウトローで、ダニエルは家族や会社のシステムで生きるには不器用な小市民である。そんな二人がシステムのエラーで親密になっていくのはなかなか気が利いていて、会話もただ会話させるんじゃなく着替えたり体を洗うための入浴だったり映画そのものの動きを止めずに進めているのも良い。最後もダニエルが拳銃をぶっ放すアクションによって自己を解放し生まれ変わることできちんとオチがついている。

 ただ、縦軸はうまくまとまってはいても映画全体はおっとりしたペースで若干退屈に感じるし、コメディリリーフになるフランク側と警察側はあまり面白くない。頻繁にカットバックしてもたいした動きはないしギャグもゆるい。後半の展開もかなり強引で、三者が合流するポイントはもうすこしなんとかならなかったものかと思う。しかしながら、今まで滅多に見ることのなかった南アフリカ映画ということでいろいろ見どころはあり、そう悪くなかった。