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エンドロールのつづきのmityのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
3.5
パン・ナリン監督の自伝的映画。
原題は『Last Film Show』フィルムが必要無くなり、別物に生まれ変わった時、映画の美しさが別の形で現れたように思った。

まだフィルムだった頃、映写技師が活躍していた頃の映画館で、映画に魅了されたサマイ。でも、父親と共にチャイを売る9歳の少年が、映画を観るお金を持ち合わせている筈もなく。映写技師のファザルにこっそり映写室から映画を見せてもらうようになる辺り、何かデジャブを感じたけれど、これは実話がもと。食より映画、母のお弁当と引き換えに映画をみせてもらって、愛おしそうに1枚1枚のフィルムを凝視するサマイの姿は、愛らしかった。

ただね、盗むのはどうかと思ったよ。お金を払って映画を楽しみに観に来てるお客さんのその楽しみを奪う行為は、自分が映画に心酔してるからって許されるものじゃないと思う。まぁお灸は据えられていたけども。その据え方にはちょっと驚いたけども。

“発て、そして学べ”
其処に居ては出来ないことがあり、叶えられないことがある。夢を諦める理由なんて幾らでもあった中で、列車に乗ったサマイ。夢へのスタートを切ったサマイのその先に、夢を叶えたパン・ナリン監督がいるんだなと思ったら、何か一気に感動が押し寄せてきたラストだった。


#12_2023
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