このレビューはネタバレを含みます
本作は対立するアラブ人とユダヤ人の若者がオーケストラを結成し、「平和」を生み出すきっかけを生み出そうと奮闘する物語。この対立は学校で勉強したり、日頃のニュースで聞いたりする程度の知識しかないが、それでも戦時中の迫害、もといそれ以前の歴史から生み出された根深い何かがあることぐらいはなんとなく理解している。
日本に住んでいると他人事のように思えてしまうこのような対立も決して他人事ではなく、韓国や中国との問題は決して解決しているわけではない。一概にどちらが悪いと言えないことがこうした問題の難しいところだが、まずは問題を自分ごととして捉え、できることから始めるのが重要なのではないだろうか。
それにしても音楽の力は偉大だ。レイラの「音楽は既に美しい」という台詞が印象的だった。美しい音楽はどの時代、どの場所にいたとしても人の心を動かす力を持っている。映画にもきっとその可能性があるはずだ。そんなことを思わせてくれる作品だった。
