こたつむり

スナッチのこたつむりのレビュー・感想・評価

スナッチ(2000年製作の映画)
3.3
★ 「どぉなっちゃってんだよ」
  「人生ガンバッてんだよ」

ガイ・リッチー監督作品は初鑑賞。
なるほど、こういう作風なのですね。
アメリカにタランティーノ監督がいるように。
イギリスにはガイ・リッチー監督がいる…そんな対比が似合う筆致でした。

基本的にはスピーディな展開。
しかも、群像劇なので入り乱れる登場人物。
裏ボクシングのプロモーター、アメリカンマフィア、ロシアの武器商人、黒人三人組の強盗、そしてジプシー…なかなか複雑な物語です。

しかし、基本的にはコメディ路線。
イヌはぴーぷー言っているし、強盗は襲撃先でマスクを外すし、ジプシーたちは聴き取れない英語をモゴモゴと言っているし。アタマを空っぽにして楽しむタイプでした。

だから、俳優さんたちの表情にしても。
ベニチオ・デル・トロや、ブラッド・ピット、ジェイソン・ステイサム…と、今をときめくスターたちなのに、どこか飄々としているのです。きっと、彼らも肩ひじ張らずに演じたのでしょう。

そして、こういう作品に付き物の“豆知識”。
本作では、豚による死体処理方法を学ぶことが出来ました。なるほど。これからの時代、一家に一匹は常備しておいた方が良いかもしれませんね。

まあ、そんなわけで。
気軽なスタイルで楽しむ犯罪コメディ。
…なのですが、場面毎に温度差を感じたのも事実。正直なところ、複雑な人間関係を突き抜ける“熱量”が少ないので、気軽に楽しむのが難しい部分もあるのです。

また、同様に旨味成分も物足りず。
塩味でもなく甘味や辛味でもなく、グルタミン酸ナトリウムの刺激。じわっと沁みるような感覚。それを味わえないのも乾燥した気分に繋がりました。

でも「それがイイ!」こともあるのでしょう。
汗をかいたときは塩辛い味噌汁が良いように。
本作がバチリとハマる場合もありますからね。
映画の感想なんてタイミングに左右されるもの。気になるのならば試してみるのが吉だと思います。
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