音のない世界はこんなにも遠い——。
学校の発表会シーンでボロボロ泣いてしまった。 音が聞こえないとはどういうことなのか、わかるようで全くわかっていなかった。それを映画を通してまざまざと見せつけられた。
マジョリティーとは、そのコミュニティーで人数が多い方の事を言う。ルビーは健常者だが、家ではマイノリティ。学校でもCODA<聾唖者の家の子>として疎外感を味わっていた。
そんなルビーは究極の二択に悩まされる。
「家族か」「自分か」
家族の事は大切だ、でも自分を仲間はずれだと思うことがある。自分の好きなことをしたい、でもそれは家族を見捨てることじゃないか?
家族も、ルビーを頼る気持ちと、ルビーに頼り切りたくない気持ちで揺れる。愛があるから、心配もするし甘えもする。
絶妙なジョークをふんだんに盛り込みつつ、晴れやかなラスト。現実はこんなにうまく行かないだろう。でも、沢山の愛とが詰まっている話だった。
親の子離れ、子の自立、というテーマは普遍だが、切り口を変えるだけでこんなにも心に刺さる物語になるのか。