deniz

劇場版 呪術廻戦 0のdenizのレビュー・感想・評価

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
4.0
「来る12月24日、我々は百鬼夜行を行う」

アニメ最終回に突然夏油傑の"宣戦布告"が流れてからはや幾月。
物語の日付通り、12月24日に公開日を迎えるという稀有なライブ感。
(ありがたく日没を狙って新宿の映画館に赴いた猿です)
そして映画にしては珍しく、"舞台挨拶次付きの一斉同時終映"というかたちで29日に千秋楽を迎えた呪術廻戦0。
見納めの思い出にレビュー。

私の呪術廻戦へのイメージは、【廻(めぐ)る】コンテンツ。
時間軸はあくまで一方行なのに、巧みに差し込まれる過去(1年前から数千年前まで様々)によって、すでに起こった事象に対して何度も新しい見解を持たされる。
進めば進むほど、ゼロ地点に回帰したくなる。
オタクを燃やす業の深い輪廻だ。

そんな(?)輪廻からの解脱とも転生とも思えるのが、乙骨憂太と虎杖悠仁という、ひとつの物語にふたりの主人公の存在。
アニメ好調の直後に主人公が異なるどころか、本編のメインキャラがこぞって出演しない「0」を映画化する試みは、なかなか賭けだなぁと感じていたが、結果としては5ヶ月ロングランのヒット作品に。
最後の舞台挨拶後の「今日初めてここに立っていいのかもと思えた」との緒方さんのコメントに、そのプレッシャーの大きさが窺えた。
七海や京都校のメンバーなど、原作には不在ながら時間軸上存在したはずのキャラが登場してくれたのには心踊った。
このタイミングで公開したからこそのオールスター感。
原作を大切に活かしながら、必要な箇所を必要なだけ肉付けし、見事に立体化してくれたMAPPA。
そして花澤香菜の魂の叫び。
聴くたびになぜか泣いた。
いずれアニメ2期が始まる。
原作通りで進めば、これまた主人公とは…?な過去編が始まる筈だが…予想を裏切られるのもまた楽しい。
(10月31日に合わせてきてももちろんいいんですよ…)
過去編後に観る「0」は、また一際感慨深いんだろうな…。
期待に期待を重ねて、それを上回る仕上がりの作品に出会えたときの幸せ。
映画に携わってくれたすべての方に、感謝のうずまきを贈りたい。

【めぐる】という動詞の中に、
「この世に生きる。世の中に交わる」という意味を見かけた。

誰も傷付けたくない。
でも誰かと関わりたいと、呪術高専に足を踏み入れた乙骨憂太。
最強と称される五条悟さえも「ひとりは寂しいよ」と諭した。
ひとに交わるって本当に大変。
でも誰にも交わらずに生きていけるほど自分は強いかと考えたら…多分きっと、無理だと思う。
だから明日もヘッドホンで「一途」を爆音で聴きながら、通勤電車に揺られようと思うのです。
(もちろんくたくたの帰りは「逆夢」で)


お!300レビュー達成だ✨
しゃけしゃけ😊
deniz

deniz