りな

草の響きのりなのレビュー・感想・評価

草の響き(2021年製作の映画)
4.3
時間が経ってしまいましたが、公開記念舞台挨拶付きで鑑賞してきました。
監督出演者の方々がおっしゃっていた通り、五感を使って考えるより感じてほしいとの事だったのでそれを意識して観てみました。まず冒頭からロングテイクの少年のスケボーシーン。このシーンだけで流れていく街並み、スケボーの心地よい音、観ているこっちも風を感じているような、そんな感覚でこの映画の魅力をいきなり感じることが出来た気がしました。
恥ずかしながら東出さんの演技はコンフィデンスマンでしか観たことがなかったのですが、今回の映画で彼の演技に本当に魅了されました。小刻みに震えながら、今にも消えてしまいそうな、そんな姿は和雄そのもので、ああこの人はこんな演技をするのか。そう気づけただけでとても良いものを得た気がします。
あとは全体的に遠くから撮るシーンが多かった作品ですが、最後の方で東出さん、奈緒さんをドアップで映したところでこれはやられたと思いました。
路上で出会った若者たちの存在もすごく良かった。なんて言うかとても危うくて、儚くて、彰くんがなぜあの選択をしたのか、結局分からないままというのがとてもリアルで、あのスケボーの音もとても儚いものに感じて。冒頭のシーンがとても恋しくなりました。
あとは最後の和雄がトンっと着地して再び走り出すシーン。本当に好きなシーンです。走り続ける和雄とスケボーに乗る彰が重なりました。
余談ですが、奈緒さんが棚に入れようとしているものを長身の東出さんがスッと入れてくれるシーンはキュンポイントでした。
函館は行ったことがないのでこれを機にいつか訪れてみたいです。
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