バス行っちゃった

べイビーわるきゅーれのバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

なんかちょっとここ最近ではトップクラスに面白かったんだけどとか言うと人格を疑われてしまうであろう感じがまた最高。

生産のための生産という現代の資本主義社会の恩恵を享受しながらもその仕組みとしてはうまく対応することができず最貧困女子的な折り合い方から殺し屋稼業に入り浸ってしまう姿や、そんなモヤモヤを吹き飛ばすキレキレのアクションによって不思議なリアリティを担保しているという、青年向け漫画誌で掲載されている殺し屋もののような話を一から実写で作ったような印象の作品で、そこがめちゃいい。

架空の経済のルールの中で展開され、その意味で今作の反対にあるようなジョン・ウィックをなぜか類想してしまい、日本でジョン・ウィックのようなある種のファンタジー世界に対抗できるものを作るならこうしたアプローチなのかなとかなんとかも少し。

ただ、最初の妄想襲撃だけは、すぐに席を立てる家での鑑賞とかなら観客の集中のために有効な仕掛けなのかもしれないし、一発で作品の世界観を押し出す手段でもあるのだろうと思うのだけれども、劇場で半強制的に座らされてひと繋ぎのものとして見ている限りは必要なく、必要がないというのが映画の映画らしさに関係しているという気がしてしまうたちなので、ああいう物語の因果とは直接関係のない形でのつかみというのはちょっと易きに流れたような感じがしてもったいなかったなと素人が偉そうに。

とまれ、この二人の背景にあるものを思うと無邪気に楽しんでばかりはいられないのだけれども、残酷な客としてやっぱりこの二人をまた見たいので、なんとか続編を。なんとか。