ギズモX

デス・レースのギズモXのレビュー・感想・評価

デス・レース(2008年製作の映画)
4.0
70年代にロジャーコーマンが制作したカルト映画『デスレース2000年』を今風にリメイクした、ジェイソンステイサム主演の痛快カーアクションデスゲーム映画。

独裁国家と化したアメリカ合衆国からレース場が設置された刑務所に舞台を移し、人を轢き殺した数で競い合うレースから囚人同士の殺人カーレースにへと設定を変えたこの本作。

今のyoutubeのような『ライブ配信をして金を取る』システムを設定にとり入れていたり、レース上にあるパネルの上を通過すると、それぞれに対応した武装が使えるようになるという、マリカーを彷彿させるTVゲーム要素がふんだんに盛り込まれており、70年代のB級カルト映画から現代的なA級大衆娯楽映画へと、作風が大幅に変化した。

レースが閉鎖的でフリーダムではないのと、観客が全く画面に登場しないので『デスレース2000年』の根本にある"暴力に対する風刺"はかなり弱まってしまい、もはや別物と呼べる品物になってしまった感じは否めない。
いい意味でも悪い意味でも世界観がかなりまとも。
首がはねられるシーンはロジャーの映画らしさがあるが。

でも、ユニバーサルが金を出してくれたおかげで『デスレース2000年』では予算の都合上使用できなかった重火器がこの映画ではめでたく解禁!
もうオイル使わなくていいんだ!

そして本作で最も重要な要素、それが我らの 《ジェイソンステイサム》!!
目の前に敵が出てきたら問答無用でボコボコにし、レースではクールにモンスター号をかっ飛ばして困難を切り抜け、しまいにゃ嵌めた奴らとデスゲームそのものを片っ端からぶっ壊す!

荒々しさの中に冷静さを宿しているステイサムだからこそできる業がてんこ盛りで、ステイサムがあまりにも強すぎて笑えてくるし元気が出てくる。
戦艦タンクローリーが来ようとも彼を止められる奴は誰もいない!いるわけがない!

ロジャーが大昔から突き詰めていた『反逆』を、ステイサムは一番パワフルかつダイナミックに体現した!
コテンパンに叩きのめせ!

「最高のゲームだ!」

【余談】
Wikipediaを見るとこの映画の製作費は4500万$。
ケチンボのコーマンがこんな大金をよく許したものだ。
恐らく、ロジャーが関わった作品の中で一番金が掛かってるのは本作だと思ってます。
ちなみに『デスレース2000年』はたったの30万$だ。

そしてもう一つ。
ステイサムのライバル兼相棒として登場するマシンガンジョーは『デスレース2000年』では若きスタローンが演じていた。
ステイサムがスタローンの相棒となるのはこの数年後のことである。
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