【爆発音が唱えるあらゆる記憶】
私は今回とても"初めてな体験"をした。
それは本作が美しくも、とても"難解な作品"であったからだ。
彼女にだけ聴こえる、"謎の爆発音"。
その爆発音を通して、彼女が"見つめていくもの"とは……。
あまりにも難解すぎて、頭が真っ白になってしまったw
ただ、本作は今までの監督の作品と同じように、私はこれも精霊やら神やらの"問いかけ"のような役割を果たしているのがこの爆発音なのだと思うのだ。実際に主人公は、この爆発音をドゥニ・ヴィルヌーブの「メッセージ」の文字のように、音響師と共に具現化しようとする。
要は、これは神からのある意味「授かり物」である音を通して、彼女の"対話の可能性"を広げようとしてくれているのではないか?
それは彼女が普段から自然と人と触れ、可能性を広げていってる行いへの、"記憶を通しての感謝の気持ち"なのではないかと私は捉えたのだ。そう、この音は、あらゆる記憶でもあるのだ。
これは恐らく、この考察には"永遠に正解は無い"。監督もそれが狙いなのだと思う。観客も一緒に主人公の謎解きのメンバーの一員となって、"新たなる正解"を探し続ける旅に出る、「超体感型作品」なのだ。
そう、この作品は難解な作品なのではなくて、"正解を探し続ける作品"なのだ。
観終わった後、謎の悟りが開けた作品だったのでありました。