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わたしは最悪。のmiuのネタバレレビュー・内容・結末

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

"愛しているけど愛してない。"とても分かる感覚だと思った。複雑な感情はどう吐き出したらいいかわからなくなって時に放棄してしまいがちだけれど、こうやって傷付けると分かっていても素直に言葉に出来るのはある種の憧れだった。主人公ほど欲望に駆られることはないけれど。人生の脇役のような気がしているという角度や自分を確立しようと奔走する姿には共感せざるを得なかった。
フェミニズムやコンプライアンスなどが会話で飛び交う"イマドキ"な価値観がありつつも、正しさを求められるSDGsや情報社会の息苦しさといった部分も表れていて惹きつけられた。(デジタル漬けか猛勉強で気を紛らわせるのすごく分かった)選択肢があればあるほど放り出されて自由じゃなくなり身動きが取れなくなる感覚も分かる。小説のような章立てやナレーションもついて行きやすくて自然と入り込んでいた。
映画を見ながら、この前高校時代の仲の良い友達と久しぶりに会い、10代から20代前半を生き抜いたシスターフッドみたいなものを感じて手を取り合った会話を思い出していた。何というか良い意味で弱みを見せたり、しがらみから解放されたりすることがようやく私たち出来てきたよねって。きっとこれからも世代によって纏わりつくものはあると思うけれど、何か大丈夫な気がするって今は思える。少なからず重ねてきた経験や観てきた映画や目にしてきた文章などが影響しているよね、という話もした。選択の先に人生があるとして、分かりきった人生より分からない方がきっとおもしろいよ。
エンドロールは目を閉じていると北欧効果だからか瞑想しているみたいな気持ちになったし、心の奥底にある湖のような深淵に浮かんでいるような気分になった。不思議だ。街並みが美しすぎて今すぐオスロに行きたい。最悪も最高と思えたら無敵だ。みんな色々あってもきっと大丈夫。今ならそう言える、大丈夫になるから。
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