木陰

コンパートメントNo.6の木陰のレビュー・感想・評価

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)
3.4

キスは不要だったんじゃないかなと思ってしまう。あの瞬間、恋愛に要約された感じがして残念だった。

住所を聞いたときの拒否から、彼の人生はもう長くないのではないかと想像してしまった。目的地に着くまでの、足の浮いた関係性だからこそ、近づける人がいること、話せることがあること。もう会わないだろうという安心感、それが二人の親密さだったのかもしれない。


主題歌であるDesireless 「voyage voyage」の歌詞に、"永遠に旅をする""海を見よう"という歌詞があって、なるほどとなった。ペトログリフはカメラに映らなくて、むしろ荒れ狂う海の方が印象的だったから。それでも二人にとって、同じ寝台列車であの海まで行ったことに意味があったのだと思う。
木陰

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