ShinMakita

ストーリー・オブ・マイ・ワイフのShinMakitaのレビュー・感想・評価

1.7
1920年代のマルタ。オランダ人の貨物船船長ヤコブ・ストーは、最近の体調不良を船のコックに相談したところ「独身生活のせいだ」と言われ結婚を決意。立ち寄ったカフェで一人の女性をナンパしていきなりプロポーズする。彼女はフランス人のリジー。意外にもオーケーと即答した彼女と、ヤコブはパリで新生活を開始するのだが…


「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」


以下、ストーリーオブマイネタバレ。


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長い、酷い、退屈だけど映像とレア・セドゥは素晴らしい…レビューの多くはそんな感じ。俺自身もそういった感想に同意するけど、ただこれ、ヤコブと似た経験をした人間にはまた違う印象を残すと思うんだよね。もちろん俺は船乗りじゃないけど、ナンパでスピード婚なのは同じ。違うのは、ウチはデキ婚だという点かな。とにかく相手のことをほとんど知らぬまま、勝手にこっちの理想を相手に重ねて、留守がちだったから勝手に妄想して悶々としていたのはヤコブと一緒。愛憎感情がコロコロ変わるのも俺やヤコブに限った話ではなく、結婚あるあるとして理解できます。ヤコブが浮気に走る気持ちも理解可能だし、レア・セドゥ演じるリジーのツンデレはまさにウチの嫁に似てるので、頷きまくってました。ただ二人の行動・言動がフツーの恋愛映画のセオリーからかけ離れてはいるので、観客が戸惑ってしまうのも解る。例えば、「愛している」というセリフの無意味さ・空疎さね。ヤコブがドイツ人の子に対して「愛してる」と言いますよね。そしてラスト、マダムとの電話で「彼女はあなたを愛していた」と言われましたよね。…愛しているのに、その仕打ちアリかよっ!と憤慨しちゃうんだけど、これぞ恋愛におけるアンビバレント。「愛してることに嘘はないけど、本気ではない…」みたいな。そういう恋愛のリアルを出せば出すほど、ラブストーリーを期待してきた客は冷めていきますよね。この監督、かなり意地悪です。意地悪といえば故意に説明不足な点も多く、ヤコブ同様に観客も妄想・想像で補完しなくてはいけない映画でもあります。レアちゃんファンには満足でしょうし、ダンスシーンやハンブルクの街並みなど目を楽しませる部分もあるけど、ラブストーリーではないということはあらかじめ知ってから鑑賞すべき。ラブではなくワイフの話…それも夫一人称の。だから女性には受けないと思うなぁ…


余談だが、序盤にあった〈船乗りポーカー〉、私やったことがあります^_^…詳細は言えないけどね!
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