ほ

アリスとテレスのまぼろし工場のほのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

変わらない現在(虚構)留まるか、変わっていく未来(現実)に向かうか。
やりたいことはわかるし、今の世の中を映そうとしている点は好感が持てた。
しかし、物語としては強引すぎるというか、持っていきたい方向にただ加速度的に進んでいくだけで、観客としては置いてけぼりにさせられた。
なぜそれをする必要があると考えたのかの描写が決定的に欠落しているから、彼らの情熱だけが上滑りしていく。感情は言葉によってのみ示される。こうしなきゃいけないという説明は必然性なく彼らの口から語られる。どうしてそこに思い至るかも示されないまま。終盤は特に作劇としては、一番やってはいけないやり方のお手本のような展開だった。
やりたいことに好感を覚えていたからこそ、どうにか分かろうと努力したが、完全に物語が崩壊していた。まさにカオスだった。

色々思うことがあるが、一番欲しかったのは、「虚構の中に留まりたい」と思う人たちのモチベーションだった。それが引力として発生しないと、未来に行くことの抵抗が生じない。虚構である現在を壊してまで未来に進むことを選ぶ物語なら、やはり現実に留まる感情にも惹かれたい。
と、途中までは考えていたが、最後がカオスすぎて、この作品が本当に何を伝えたかったのかわからなくなり、僕が途中まで「こういう作品か」と思っていた部分と大きくズレていった可能性があるのでもはや何とも言えない。
ほ