要所に奏でられるショパンのピアノ曲が本当に心に沁みます。
言葉にならない言葉がピアノの旋律にのって胸を打ちつけてきます。
第二次世界大戦。ナチスドイツのポーランド侵攻と凄惨なユダヤ人の迫害。
ただ生き延びるのに必死で、一瞬一瞬が死の危険にさらされ、明日どうなるかもわからず身を隠しながら彷徨うピアニストの主人公シュピルマン。
ピアニストがピアノを弾けない。
ピアノが目の前にあっても弾いてはならない。
何故ならナチスドイツ兵に存在がバレたら殺されるから。
生きる自由を奪われ、またピアニストとしての生きる喜びを奪われる苦しみ。
それでも何とか希望を捨てずボロボロになりながらもひたすらに生き続ける姿。
やっとピアノを弾けた時の、それでも生きているという実感、敵もまた同じ音楽を愛する人間同士という真実、またそれらを断ち切る戦争の悲惨さや残酷さなど、言葉にならない感情がショパンにのってきて涙を禁じ得ませんでした。
ちなみに、ショパンはポーランドの誇る偉大な音楽家で、フランスで亡くなりましたが遺言で心臓だけは祖国ポーランドに帰らせて欲しいということで、彼の「心」はポーランドに今も眠ってるそうです。
そんな祖国への愛や誇りを受け継ぎ、第二次世界大戦を乗り越え、今もなおポーランドのピアニストは特別な思いでショパンを弾いていると思うと、一層感慨深いです。