健一

戦場のピアニストの健一のレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.4
2002年 🇫🇷🇵🇱🇩🇪合作映画。

第75回アカデミー賞
監督賞(ロマン・ポランスキー)
主演男優賞(エイドリアン・ブロディ)
脚色賞 受賞。

劇場公開時鑑賞済。にもかかわらず 何故か 殆ど覚えていない。
自分でも理由が分からず 「これはいかん!」という事で 17年ぶりに再鑑賞。

終始 ツラい! 辛さしかない!
しかし実際の出来事ですからね!直視しなくては。

本作でアカデミー監督賞を受賞したロマン・ポランスキー監督の魂の叫びを感じる入魂の作品。

ユダヤ系のポランスキー自身、幼少期に一家全員アウシュビッツに連行され ユダヤ人ゲットーに入管させられている。
母は殺害され 父はゲットーの有刺鉄線を切って幼きポランスキーを逃したという。
逃げ切ったポランスキーは「ユダヤ人狩り」から逃れる為 転々と逃亡していたらしい。
終戦後ポーランド🇵🇱に戻り 奇跡的に父とは再会できたという。
さらに悲劇は続き 監督賞を受賞したのに当時は 司法の手に追われていてアメリカ🇺🇸に入国禁止令を受けていてオスカー像を受け取ることが出来なかった。

本作に監督自身の体験が反映されていると思うと本当に観ていて辛い。でも よく生き残った と静かに賞賛したい。

映画としての娯楽性は殆ど無い。
2時間半 真実を語り尽くしているのみ。
初鑑賞時の記憶が殆ど無いのが なんとなくわかった。
さらに10年以上前に観た「シンドラーのリスト」と どうしてもカブってしまい記憶が「シンドラーのリスト」の方が上回ってしまっていたからだろう。

タイトルの通り もっとピアノを演奏しているシーンが多かったら印象も変わっていたと思うが演奏シーンは意外と少ない。
まぁ あの状況でピアノの演奏どころではないのだが。
ラストのエピソードもいまいちインパクトが弱い。
でも監督は静かに最後まで演出したかったのだろう。

とは言え 素晴らしい作品である事は確か!
でも 10年くらい経ったらまた忘れそう。
「シンドラーのリスト」の衝撃は初鑑賞から26年経った今でも鮮明に覚えているのだが。


2003年 2月下旬。
上野東宝 にて鑑賞。
2003年8月31日。惜しまれつつ閉館した。
西郷どん の真下にあった映画館。
健一

健一