いや、題材はすごく良かったし、この監督は登場人物が画面からオンオフすることを活かすのが本当に上手いしサスペンスフル。精神的に不安定なものが画面から消えていくこと(見えないところにいってしまう)の恐ろしさは映画ならではだと思う。
音の使い方や俳優の表情も本当に堪能した。
でも一つ本当に引っかかった部分があって、どうして入院継続可否の判断を、当事者を含んだ場面であの医者はさせようとするのか本当に疑問だった。自分は精神医療の専門家ではないし、アメリカの制度のことも明るくないから分からないのだけど、一度自殺未遂をした明らかに判断能力を欠いた患者を介してあの場で判断させるのは明らかに変に感じた。
映画的なウソだとすれば、あのシーンは非常にサスペンスに満ちていて効果的だと思うしその後の裏切られるような展開を踏まえても理解はできるのだが、あまり誠実な嘘のつき方ではないように思えた。作為的にラストへ持っていっている感じもなくはない…。
