田島史也

ブレードランナー ファイナル・カットの田島史也のレビュー・感想・評価

2.8
ハリソン・フォードがずっと追い、追われる作品。

せっかくの壮大な世界観を生かしきれず、コンパクトにまとまってしまったストーリー。ずっと追いかけっこしているだけなら、相手がレプリである必要はない。レプリを巡る感情の動きを描写するなど、もう少し緩急のある展開だったら良かったのに、と思う。

近未来感の演出のために日本要素が多く登場。サイバーパンクとかネオトーキョーとか、そんな雰囲気。この世界観は、ザ・クリエイターのニューアジアに明確に影響を与えている。やっぱり、東京の雰囲気って、サイバーパンクなんだなぁと、外国の作品を観ると思えてくる。オリエンタルな雰囲気と日本要素と、中国要素と。近未来とはコスモポリタニズム的アジアなのかも。

画はずっと暗くてジメジメしてる。明るく開放感のあるショットは最後まで出てこない。ずっと何かに閉じ込められているような、抑圧されている感じがある。そうした暗く閉ざされた異世界に放り出されることで、常に不安感が煽られる。

特に、セットや小道具、衣装などへのこだわりには驚かされる。全編暗闇という構成も、きっと撮影が大変だっただろうと想像されるが、それにより異世界感が演出された点で、非常に効果的であったと言える。

ストーリーとか画作りとかはあまり好みでは無いけど、間違いなくSFの新地平を切り開いた重要な一作だ。

映像0.6,音声0.6,ストーリー0.4,俳優0.7,その他0.5
田島史也

田島史也