コマミー

LAMB/ラムのコマミーのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.7
【天からの授かりもの】




アイスランドの山間に住む、ある"羊飼いの夫婦"。

ある日、夫婦はせっせと"羊の出産"に立ち合っていた。

それは羊の出産のピークであった。

そしてある日、ある1匹の羊から、"タブーな生命体"が産まれる…。



とまぁ、"A24"の配給作品らしい"不穏な空気"を漂わせた作品なのだが、感じ方は人それぞれだと思うが、私は思ってたよりも"朗らかな部分"も多いと感じた。
本作の監督"ヴァルディミール・ヨハンソン"は、あの「サタンタンゴ」を手掛けたハンガリーの名匠"タル・ベーラ"から師事を受けた逸材だ。それゆえに、本作はとても"台詞が少ない"のだが、そこがとてもタル・ベーラらしい要素だなと感じた。そして、本作に登場するタブーな存在である"アダ"と言う子供の存在が、"最後の最後まで謎"な所は、全体像が謎の事が多いタル・ベーラの描き方に強く影響されてると感じた。「サタンタンゴ」や他のタル・ベーラ作品を完走した方は、必見である。

そして、本作は皆さんが思っているよりも、朗らかな内容であると言う事だ。「アダの成長日記」が大半な内容で、羊と人間のハイブリットであるアダが微量にだが、本当の人間のように"感情の成長"が伺えるのだ。言葉や感情を読み取り気を使ったり、他の動物と遊ぼうとしたり、人間に溶け込もうと必死なアダの"健気な姿"にウットリしてしまった。
そしてそれと同時に、後に訪れる"運命の時"が来た瞬間、観客である我々も全てを思い知る事になるのだと。

明るい場所から闇の世界に堕ちる瞬間が、その時はあっという間かのように感じた。

ある意味これは、"新感覚のファンタジースリラー"なのではないかと感じました。
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