このレビューはネタバレを含みます
トークイベント付き試写会で鑑賞させていただきました。
ツチヤに一切感情移入も共感もできないのになぜか少し泣いたし、なにも解決してないのになぜか少し救われた気分になりました。
トークで監督らが仰っていたように、敢えてモノローグ等を排除してツチヤがなにを考えているのかわからないように、共感しないように作られているのだと感じたし、そもそもツチヤ自身が社会にいたとしてほとんど誰にも共感されない類の人間であるので、その描き方が正しいような気がした。
最後の方、居酒屋で号泣して鼻水までダラダラ流してるシーンなんて正直ドン引きしたのに、ツチヤへある種の憧れを抱いていて、でもツチヤほど尖った才能があるわけでも、社会不適合なわけでもなくなんとなく社会的日常に適応したふたりを前に、ツチヤが自身の思いを全力で吐露したことに映画のふたりと同じように少し口角が上がってしまいました。
社会って昔よりずっと社会性に対してシビアになっていて、才能だけじゃどうにもやっていけなくなっているけど、正しくなりたいって叫んでたツチヤにはもうどう足掻いたって才能しか持ち物がないから、それだけを手になんとか生きていこうとしなきゃいけないし、報われる日は来ないかもしれないけど人生ってそんなもんなので少しでもいいことがあったらそれを噛み締めてやっていくしかない。
最後まで社会的には落伍者の部類だけどツチヤがヤケクソなのか前向きなのか、一旦死んで再スタート切れたことに安心しつつ妙にスッキリしました。
