Habby中野

笑いのカイブツのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

別にほかに素晴らしい映画はゴマンと存在しているんだけれども、これを見た、今その時から自分が少しは助かったと思えること、そしてこれからもまだ助かっていられ得るかもしれないその可能性のためにこの映画の存在が確かにあるという意味で、何よりも最高の作品だと言ってしまっていい。それはつまり、小津みたいなカメラ、徹底的に客観的で、なのにふと超越的に主観になったりして、そして気がついたら居酒屋の席に登場人物と一緒に座している、そんな映画のあり方であり、
「地獄で生きろや」
「……承知」
である。
こんなにも友達のような映画はないのかもしれない。世界を切り裂こうにもどうにもならずただ痺れ痙攣している苦しそうな大切な友人、あるいはその逆、自分。今こうして触れている空気と同じように肌を擦る冷たい世界、温かさ、お前誰じゃ。
Habby中野

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