ろ

硫黄島からの手紙のろのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
4.6
「不思議なものだな。家族のために死ぬまでここで戦い抜くと誓ったのに、家族がいるから死ぬことがためらわれる」


1年ぶりに鑑賞。
昨年、私は戦争映画をひたすら鑑賞するという授業を受けていました。それがきっかけで戦争映画に大ハマリ。昨年から今年にかけて10本以上鑑賞。中でも今作は特に好きな1本です。
英語の授業で「映画からみる戦争」というテーマでプレゼンを行ったのですが、そのプレゼンも今作を取り上げて発表しました。
"日本人の生き様"がこの映画には詰まっているように思います。

今作は「父親たちの星条旗」に続く 硫黄島の戦いをテーマにした映画ですが、個人的には今作の方が好きです。テーマソングを聴いているだけで涙が止まらなくなります。


2006年、硫黄島の地中から大量の手紙が発見される。
それは兵士たちが家族に宛てた 届くはずのない手紙だった。
硫黄島で戦った彼らは何を思い、感じながら戦っていたのか...

「戦争なんて終わればいいのに」
「早く家族に会いたい。みんなと暮らしたい」
「無駄死にだけはしたくない」
届くことのない手紙を書き続ける兵士たち。
妻や子どもを想いながら、母親を想いながら。
祖国に思いをはせます。
一等兵の西郷をはじめ、中将の栗林、憲兵出身の清水。
彼らがどんな思いで戦争に来たのか、その背景に迫ります。


1番印象的なのは集団自決の場面。
西郷たちが守っていた すり鉢山はもはやこれまで。
残された道はただ1つ、潔い死に様だ。
自決、それしかない。
「天皇陛下、万歳!」
叫びながら死んでいく仲間たち。
家族の写真を握りしめ、次々と爆弾のスイッチを押していきます。
無念さ、悔しさ、苦しさ。
歯を食いしばって泣きながら死んでいく彼らの姿。
やるせない気持ちになります。


アメリカ兵サムの母親の手紙を読み上げる場面。
西郷や清水をはじめ、全員が総立ちで耳を傾けます。
「戦争が1日でも早く終わり、あなたが無事に戻ってきますように」
それを聴いた日本兵は驚く。
日本では、アメリカ人は意志が弱く、日本兵に劣る腰抜けの集団だと思われていた。
でも、日本人もアメリカ人も変わらないじゃない。
「あいつの母親の文面は私の母と同じだった」
家族はみんな心配し、兵士の無事を祈っている。それは世界共通なんです。

もし、自分の家族に戦争の召集令状が届いたら…
わたしはどんな顔で、どんな言葉で家族を戦場に送り出すのだろう…
戦場から届く手紙をどんな気持ちで読むのだろう…


「日本人が1日でも長く、安泰に暮らせるなら 我々にはこの島を守る意味があるんです」
ろ