Ryoma

The Hand of GodのRyomaのレビュー・感想・評価

The Hand of God(2021年製作の映画)
4.1
ローマ•ミラノに次ぐイタリア🇮🇹第三の都市ナポリを舞台に描かれるひとりの青年の成長譚。冒頭から背景に映し出されるナポリ湾の紺碧とも言えるほどに澄み切った景観が明媚で美しい。南方に位置するというアマルフィ海岸は私たち日本人にも聞き馴染みもあるし、映像美という側面のみを切り取っても秀逸だった。
穏やかでゆったりと流れる時間の中で、出逢いと別れ、夢と現実の狭間で揺れ動く葛藤、故郷や家族への思い、都会への憧れなど様々な試練や経験を通して彼が成長•老成していく様子が徐に移り変わるカメラワークや長めの会話の間など本当に静謐に丁寧に描かれていた。生きていれば楽しいことばかりでは決してないけれど、どんなことが起こってもそれを糧に胸に抱いて成長できたらいいなと思った。少し主人公の心情を読み取りがたい難解な場面もありながらも、しみじみと大切なことが伝わってくるようなよき作品だった。ラスト30分くらいが特に好き。


memo📝
アカデミー国際長編映画賞ノミネート(2022年、受賞は『ドライブマイカー』)、ヴェネツィア国際映画祭審査員特別賞受賞(2021年)
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