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レイジング・ファイアのnのレビュー・感想・評価

レイジング・ファイア(2021年製作の映画)
4.3
民主派を弾圧する側に回ったことで香港警察への信頼が地に堕ち、また政府による映画業界への締め付けも『インファナル・アフェア』などの頃とは比べ物にならないほど厳しくなっているであろう今、香港の警官を主役にした映画をどのように作るのか?という点にとても興味があった。どういうところで検閲の影響を受けていたのか、弾圧への抗議のメッセージが込められている部分は(もしあったとすれば)どこなのか、私のような何の知識もない素人が一見してわかるようになっているはずもないのだが、『エグザイル/絆』とか『レクイエム 最後の銃弾』にあったような、香港ノワールで一番ロマンティックな兄弟愛のモーメントがンゴウ一味に与えられているのを見るにつけても、やはり彼らは単なる悪役としては描かれていないように感じた。その一方で、一般市民を暴行する警官だとか、街中で血を流して倒れている人々といった民主化デモへの弾圧の現場を想起させるイメージ、香港警察への反感を煽るような場面をことごとくその「悪役」側に割り振っていたのは当局への配慮があってのことなのではないか……などと考えてみたりもしたが、実際のところは知りえないし、香港の人々がこの映画を観てどんな風に感じるのかもわからない。ぜひ有識者による解説を読んでみたいと思う。

とにかくベニー・チャン監督には、最高のエンターテインメントと最高のアクションと最高の爆発と最高のニコラス・ツェーをありがとうと言いたい。もっともっと作品を観たかった。

しかし、二回観てもあの廣東道がセットとは思えない…。凄すぎる。
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