keith中村

アメリカから来た少女/アメリカン・ガールのkeith中村のレビュー・感想・評価

4.5
 「はちどり」や「82年生まれ、キム・ジヨン」にも通じるところがあるし、「フェアウェル」なんかも彷彿させる。
 なんなら「ミナリ」もそう。
 
 Netflixでは2021年作品となっているけれど、エンドロールには2018年とある。劇中でSARSが「やや遠景」として描かれるのが、今と通じるけれど、製作年からすると偶然なんだろう。
 
 家族だから愛するけれど、家族ゆえの憎しみもある。
 静かな静かな、やさしい視点を持った作品。
 音楽もミニマムに抑制されている。
 
 スピーチ大会がクライマックスになるんだろうと勝手に思ってたら、違う展開になったんで、やっぱり勝手に肩透かしに思ってしまったんだけれど、観終えてみれば、この静かな着地でこの映画はよかったんだと思う。
 
 この歳になると、パパやママの視線で観ることになるので、沁みるものがありました。
 
 私が10年ほど前に付き合っていた女性は、アメリカからの帰国子女で、興奮してくると英語が混じってた。
 「頭の中ではどっちで思考してるの?」と聞いたら、半分半分と言ってました。
 「アメリカに戻りたい」ってよく言ってたっけ。
 その子は結局大学を卒業すると、アメリカに行っちゃいましたね。
 
 さて。
 エンドロールになったら突然、陳綺貞の歌声が流れてきたので、びっくりしながら嬉しくなった。
 声を聴いた瞬間に、「あっ! 陳綺貞だ!」とわかったのです。私はそれくらいの大ファン。
 映画用に書き下ろした新曲みたいですね。
 タイトルは、「盡在不言中」。
 「言葉にしなくても通じ合ってる」みたいな意味でしょうか。英語題は"Beyond Words"でしたね。
 この映画自体が、言葉にしなくても通じ合ってたり、通じ合わなかったり、そういう家族を描いているわけで、アテガキ(って言っていいのかな?)だろうから、歌詞の意味はわかんないけど、いいタイトルですよね。
 
 1998年の秋に台湾に旅行したときに、CD屋さんに入って、何んとなく気まぐれでジャケ買いしたのが、デビューアルバム「讓我想一想」。
 確か平積みされていたので目についたんだと思うんだけれど、つまりはデビュー直後にしてヒットしたってことですね。
 調べてみるとリリースが7月1日で、私が行ったのが9月の一週目だった。
 帰ってきて、聴いたら、これが素晴らしい。ドハマりして擦り切れるまで聴きました。嘘。レコードじゃないから擦り切れなかったんだけどね。
 楽曲もいいし、歌声がとても可愛い。
 
 セカンド・アルバムは2000年の「還是會寂寞」。
 ちょうどこの頃から、日本でリリースしていないCDもネットで買える時代になったので、それで買いました。
 正規のオリジナル・アルバムは7枚かな。全部持ってる。
 
 だもんで、陳綺貞の歌声が聴こえてきて、とても嬉しくなったのでした。
 だもんで、点数ちょっと甘めです。