まあちん

オッペンハイマーのまあちんのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
2024年 21本目

正直、クリストファー・ノーラン監督とは相性は良くないと思っています(『ダークナイト』3部作だけ楽しめました)。
上映時間が3時間と知りいずれ配信で見れたとして、家で3時間向き合うのも辛そうだし…映画ファン感謝デーでお安く鑑賞出来るのであれば、という事で映画館へ。

理論物理学者オッペンハイマーが一人シコシコ原子爆弾の研究、開発に成功するのかと思っていたら、チーム原子爆弾の総監督だったのですな。

学者として(戦中、ナチスの事もあり)興味と関心、成果という目的と結果が出る迄は良かったのですが…
産み出してしまった破壊兵器の威力と恐怖を実感した時には既に自分の手の届かない、もう自分でコントロール出来ない、権力者や軍のモノになってしまい。

原子爆弾を積み込み離れて行く軍用トラックを見る眼差しは、我が子が連れ去られる様な気持ちと、本当に人を殺す目的で使用されるのかという不安が入り交じる表情でしたね…
そして日本に投下され被害を聞き。
観客がプレッシャー感じる様な音圧と光による演出で、罪悪感と恐怖をオッペンハイマーが何度も感じます。

この作品の魅力のひとつに、ルドウィグ・ゴランソンの音楽(スコア)が劇中終始かかっている事。
そして映画館だからこそ表現、体現出来るビリビリくる様な音量と音圧がなければ、半分はロバート・ダウニー・Jr.他の尋問の対話劇で、自宅で見ていたならこの音圧は再現出来ないので寝落ちしていただろうなぁ~と思ったりして。

ロバート・ダウニー・Jr.が原子力委員会議長だという役職も見ていて分からず(偉いお立場は分かる)。
恥をかかされたから私怨でオッペンハイマーの立場を揺るがそうとするのは分かります。尋問のやり取りや台詞の数々を理解出来ない箇所も多く、でどうしたいのか?の疑問もあり、よって面白さにも繋がってはいきませんでした。

Wikiで、「冷戦を背景にジョセフ・マッカーシーが赤狩りを強行したことが、オッペンハイマーのキャリアに大きな打撃を与えた。機密安全保持疑惑により休職処分(事実上の公職追放)とした」と鑑賞後知り、成る程。
自分が馬鹿だから分からなかったのだと理解しました。

キャストは豪華でしたねぇ。知った顔触れ多し。
エミリー・ブラント。ああいう我が強いキャラクター演じるのを見るのは初めてかも。
ラスト、握手せずあの苦々しい許さないという表情良かったです。
フローレンス・ピュー。濃いわぁ~。濃い。
ジェイソン・クラークが嫌なヤツを上手に演じていたなぁ。あの尋問の仕方。

見ていて“面白い!”とは特別に感じなかったですが、3時間という長尺が終わってみれば、長いとは感じなかったので、其なりに楽しんでいたという事なのでしょう。
映画館でこそ得られる環境とスクリーンに向き合う姿勢があればこそ、あの持続する緊張感を体験出来たのだと思います。
まあちん

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