Scarlet

BLUE GIANTのScarletのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.5
“劇場がジャズクラブに変わる2時間!
2023年のベストワン!”

2023年2月の公開時と、11月のアンコール上映、2回鑑賞。

アンコール上映で観た2回目の方が、むしろ目頭がが熱くなった。ストーリーを知っているだけに、涙の方が先に待機している感じだった。

アニメ映画、実写版映画、原作コミック、劇場版映画、ジャンルは関係無く、良いものは良いし、本物は本物だ。

作品中で、主人公、宮本大(山田裕貴)が同じ事を語っている。

アニメ映画とわかっていても実写に見えてくる、宮本大(山田裕貴)、沢辺雪折(間宮祥太朗)、玉田俊二(岡山天音)の存在感と圧巻の演奏。彼らの目的とやっている事が単純なだけに、観客は感動する。

個人的には、主人公、宮本大役の山田裕貴をこの作品で認識し、彼がパーソナリティをする、深夜ラジオ番組を聴き始めた。
そこで、感動的なエピソードを知る。

作品中、So Blue となっている名門Jazz クラブは、もちろん、Blue Note東京。
Blue Note はこの作品に全面的に協力し、
店の最高機密と言える、建設時の設定図を、本作品の監督、立川穣に提供した。

ステージだけでなく、客席、ロビー、全ての機材や設備の配置に至るまで、本物そっくりに再現するために。

そして映画が大ヒットすると、また異例のイベントを組んだ。

Blue Note 東京で、映画Blue Giant を予約制で上映したのだ。
ジャズライブと同様、カクテルドリンク付きで、観客は作品を楽しんだのだ。

このイベントに主役の声を務めた山田裕貴が招待され、多忙な中、やっと最終日に出向き、作品を観た時の感動を、山田裕貴自身が熱く語っていた。

同伴者は、当時、NHK大河ドラマで共演していた、嵐の松本潤(徳川家康役)。2人が一般客に認知されたら大変なので、特別な席が用意されていたらしいが、途中で、山田裕貴は殿(当時、彼は松潤を、”との”と役柄で呼んでいた)の異常に気付いた。

殿が肩を震わせていて、嗚咽のような声が聞こえてくる。
“殿が泣いている。感動して泣いている。”
その姿を見てしまった彼は、自身の主演作ながら、鳥肌が立ったという。

どんな名作でも、100%の人が絶賛する映画など無い。

ただ、2023年、劇場鑑賞70作品を超えた、一映画ファンの私の2023年ベストワンは、Blue Giant だ。

アンコール上映後、席を立つ観客はほとんど無く、涙の跡を拭う仕草が多く見られたのは、言うまでも無い。
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