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ブラック・フォンのRのネタバレレビュー・内容・結末

ブラック・フォン(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で友人1人と。

2022年のアメリカの作品。

監督は「ドクター・ストレンジ」のスコット・デリクソン。

あらすじ

コロラド州デンバー北部のとある町で子どもの連続失踪事件が世間を賑わせていた。そんなある日、近隣に住む少年フィニー(メイソン・テムズ)は自称マジシャンの謎の男(イーサン・ホーク「ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ」)に「手品を見せてあげる」と声をかけられ、そのまま誘拐されてしまう。気がつくとそこは地下室で周囲には鍵のかかった扉と鉄格子の窓、そして断線した黒電話があった。謎の男グラバーの脅威に晒される中、突如フィニーの前で断線したはずの黒電話が鳴り響く。

あの気鋭のスタジオ「ブラムハウス」製作ということもあり、公開当時からずっと気になっていたものの、タイミングが合わなかったのと、ちょっと怖そうだと思い、ずっと観れていなかったんだけど、YouTubeチャンネル「シネマンション」の過去動画を漁っていて、御三方が激奨していた動画を再度観て、いてもたってもいられずにようやく鑑賞。

お話はあらすじの通り、言っちゃえば「誘拐もの」のスリラー映画。辺鄙な町で最近子どもの失踪事件が多発する中で、主人公が攫われちゃって、さぁどうする?的な内容となっているんだけど、まぁ別にネタバレでもなんでもなく犯人はパッケージの悪魔のお面を被った男です笑。ちなみに、あのイーサン・ホークが演じてます。

で、この謎の男、通称「グラバー(人攫いという意味なのかな?)」なんだけど、「アブラカタブラ」とプリントされた犯罪者がよく使うような真っ黒なバンでいきなりやってきて、「手品を見せてあげる」と甘い言葉で誘い込んで、真っ黒な風船の中に忍ばせた催眠スプレーで対象である子どもを昏倒させて連れ去ってしまうという不気味な男。

しかも、誘拐犯にしては割とニヤニヤとよく喋る男でもあって、そんな内面に反して、顔の上半分か下半分、もしくはフルフェイスと時と場合を分けて一貫して悪魔のお面を装着して、クライマックスの一瞬以外はほとんどその素顔を顕にしないという不気味な男、果たしてイーサン・ホークが演じる意味はあるのか?と少し思わずにはいられないが、やはり演技派なだけあって彼が演じていると思ってみると掴みどころのなさもあって怖い。

で、そんなグラバーに対抗するのが誘拐された兄フィニーとその妹のグウェン(マデリーン・マックグロウ「ラ・ヨローナ 泣く女」)。フィニーは草野球をやっていて「イカす肩を持ってる」けど、いじめられっ子で、グウェンはそんな兄貴をいじめっ子から守れるほど跳ねっ返りな娘さんという、まぁでもどこにでもいる普通の兄妹。

ただ、この2人、実は亡きお母さんがなんらかの超能力を持っていた遺伝なのかわからないけど、その血を引き継いで2人とも不思議な能力を持っている。グウェンは予知夢で劇中ではそのグラバーが起こした誘拐事件に関する手がかりを見たりできるんだけど、まぁ肝心なのはフィニー、なんと彼は拐われた地下室で見つけた線が繋がっていない「ブラックフォン=黒電話」からかかってきた電話によって、それまでフィニーと同じように拐われて無惨にも殺されてしまった5人の少年たち、つまり「死者」からのメッセージを受け取ることができるというわけ。

まぁ元々そういう能力なのか、それとも地縛霊となった少年たちの死に切れない想いがそうさせるのかはわからないけど、要はその死者からの電話によって、なんとかグラバーの家から「脱出」を図るというかなりトリッキーな作風がまずはとても面白い!!あぁ、そうなっていくんだ!っつー。

また、この死者の電話ってのが、まぁ言うても死者だからかわからんけどはじめは要領を得ない会話でフィニーを惑わせてきたりするんだけど、「(鍵がかかってない扉は(グラバーの)罠だから開けて、階段を登ってはいけない」とか壁の隙間に紐を隠したからそれを鉄格子の窓に括りつけろとか脱出のためのヒントを教えてくれる、要は「お助けキャラ」みたいな役割でフィニーを助けてくれようとする。

かかってくる電話ごとに野球少年のブルースだったり、ブロンドパーマの不良少年で通称「ピンボール」のヴァンスだったり、ペーパーボーイのビリーだったり、グリフィンだったりとアットランダムに電話がかかってきては明確な意識を持って話していて、まるで生きているようなんだけど、その表現として、フィニーと会話している彼らは既に血だらけだったり、傷だらけの痛々しい姿となってしまっていて、あぁやっぱりすでにこの子たちな亡くなっているんだなぁ…と悲しくなってくる。

で、そんな無念の想いからなる電話によって、何度も脱出を試みようとするフィニーなんだけど、まぁそれで助かっちゃったらすぐにお話も終わってしまうわけでなかなかうまくいかない。

一方、グウェンはグウェンで、なかなかフィニーの現在地に予知夢が「繋がらない」ことでヤキモキするんだけど、神への祈りが通じたのか、ようやくグラバーがいる「らしい」住所を予知夢で見ることに成功!!

そこで警察に連絡(なぜかこの作品の警察はグウェンの予知夢に正当性を見出している有能チーム笑)、すぐさま急行すると、そこはなぜか空き家…と思ったら地下には5人の犠牲になった少年たちの死体が埋められていて…一方フィニーは最後の犠牲者でフィニーの1番の親友だったロビン(ミゲル・カサレス・モーラ)からの電話によって勇気を奮い立たせて、グラバーとの最後の戦いに挑む!!

その最後の戦いのシーンもぶっちゃけグラバー自身は思ったよりも強くないんだけど、ロビンの助言によって、なんと黒電話そのものを武器に決めた時はえ?もっと殺傷能力高い武器(例えばトイレの蓋とか)使えば良いのでは?と思ったりしたけど、いざその黒電話を使って戦うとロビンとの電話を通してのトレーニングを活かして巧みにグラバーの攻撃をかわしつつ、グラバーのお面を電話でかち割って、もがき苦しむグラバーの喉元にコードを巻きつけたまま「電話だよ!」とそれまでの犠牲者の「声」を届ける決着のつけ方はスカッとしました!!

いやぁ、なんというかブラムハウスらしいなかなかの変わり種の作品ではあったけど、ジュブナイルらしい少年少女がちゃんと頑張って巨悪である大人を打ち倒すという話運びもいい感じに楽しくて、なるほどこれは確かに普通に楽しい作品でした。一風変わった作品が好きな人にはこれかなりオススメです👍
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