このレビューはネタバレを含みます
なんと悲しい……
最後はシャラメ君がアナキン・スカイウォーカーに見えてしまったよね。。
ポールの成長譚を見ていたはずなのに、いつの間にかチャニに感情移入していた。
崇める人、操る人、操られる人。
実態を感じられないとでも言えばいいのかな。救世主の登場と共に、アラキスに存在するものひとりひとりの人間としての重みや温もりが失われていくようで。
この人たちは揃いも揃って一体何のために生きているのだろう。
ポールの意思で個より全体を見ることを優先したのであれば、大局的として称賛される部分もあるのだろうが、ポールも運命の操り人形でしかないところに闇を感じてしまった。
そんな中、チャニだけは救世主信仰を信じずに自分の足で立とうとする。
たとえポールが救世主であったとしても、アラキスはフレメンが統治するべきだと考えていたようにも見えた。
何よりもポールを一人の男として愛したいし、ポールはポールのままでいるべきだと考えていたのだろう。
チャミの考えは、自分の意思や民族の意思の尊重という意味で、すべて一本の筋が通っていると思うんだよ。
悲しいのは、ポールは夢の中でチャニの悲惨な姿を見ているからこそ南へ向かう決心がつき、
チャニも一滴の涙でポールを目覚めさせたことで救世主信仰に加担してしまったこと。
二人ともあれほど拒否していたことに、お互いのことを想うがゆえ、取り込まれてしまったんだ。
ポールが命の水を飲んだのは、お互いを愛するがゆえに離れていってしまう分岐点だった。
アメリカの若者の間で、現在のパレスチナ紛争と本作が重なっていると話題になっているらしい。SNSで流れてきた。
もちろんフレメンがパレスチナの位置づけになるのだろうが、残念ながらフレメンはもう洗脳されているに等しい。
そうすると、自分の民族の統治はよそ者が行うべきではないと考えているであろうチャニを応援する気持ちがますます強くなる。
PART3があるのだとすれば、女性たちの権力闘争と並行する形で、途中までは主人公のように描かれるのかもしれないな。
映像面は抜群すぎます。特にサンドワームに乗るシーン。
これこそIMAXで見るべき映画だよ。
P.S.ゼンデイヤが各作品で不遇すぎるので、劇中でもトムホかシャラメ君と幸せになってくれよ。