コーカサス

カッコーの巣の上でのコーカサスのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.3
刑務所での強制労働を免れようと異常者を装い、精神病院に入ったマクマーフィ(ニコルソン)は、ラチェッド婦長(フレッチャー)のもと無気力に管理される患者たちの悲惨な現実を目の当たりにする。

その管理や治療に疑問を感じた彼は、婦長や病院側に対し反抗を続けると、患者たちは心を開き始め、次第に自分らしさを取り戻していく“人間の自由と尊厳”を描いた名作だ。

62年に発表したケン・キージー原作の同名ベストセラー小説を映像化、またアカデミー賞5部門を受賞したアメリカン・ニューシネマを代表する一本でもある。

マクマーフィの影響で変化する患者たちを好ましく思わない病院側のとった電気ショック療法、さらにはロボトミーといった非人道的な処置は、もはや治療の域を超えた虐待行為であり、逆に決して善人とは言い難いひとりの詐病男が悩める患者たちを見事に救うその様子を観ていると、医療について、または彼らのような患者に対してのケアを深く考えさせられた。

カッコー カッコー しずかに 鳴いてるよ
森の中 ほら ほら 朝だよ

自由を求め、たまたまカッコーの巣へとやってきたマクマーフィの迎えた朝。
彼の悲劇は一方で、知らず知らずに救っていた仲間たちにとっての自由と希望の朝でもある。

12 2024 250 2020/10/10