MAIKO

ゴヤの名画と優しい泥棒のMAIKOのレビュー・感想・評価

ゴヤの名画と優しい泥棒(2020年製作の映画)
3.8
実話を元にした、心地の良い、
タイトルにもなってるけど、優しい映画。

1960年代、見た目からしておじいちゃんのケンプトン・バトンは、イギリスで慎ましく、でも幸せに暮らしていた。戦時中に生まれ、出生届もないため、正確な年はわからないという。
ただ、おしゃべりで、政治に関心を持ち、大好きな戯曲を書いて過ごしていた。
妻のドロシーは反対に生真面目な性格で、掃除婦をしながら家計を支えていた。
夫婦には3人の子がいるが、長女は事故で死亡。その件は一家の地雷となっていた。

ある日、ケンプトンは社会に一石を投じる。
お金を払わなければ見られないBBCテレビ。
だったらBBCだけ見られないようにテレビを加工したらお金を払う必要ないですよね?
だけれども、ケンプトンは刑務所に送られてしまう。
収容期間は13日だったが。

そして事件は起きる。
ロンドンの美術館「ナショナル・ギャラリー」から、イギリス政府が14万ポンドで購入したゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた!

犯人はだれ?
世界的な組織? プロ集団?
いえ、タクシー運転手のおじいちゃん、ケンプトン・バトンだった!

名画を盗んだ理由は?
とてもとても優しく、「そうだ、そうだー!」と、一般の人たちも思わず味方につけてしまう優しい動機。
(真相は作品を観た人だけが知るところ)
もちろん、盗む行為は絶対に許されないけれども、体を張った社会への投げかけは、多くの人の胸を打った。

ケンプトンの大きな大きな愛は
たくさんの人の心に響いた。
だからこの作品が生まれたんだと思う。
愛がおっきくて、真っ直ぐすぎて近くにいたら、面倒かもしれないけれど、
(ドロシーはすごい!)
どうしても羨ましい、
もしくはこういう人が親だったらと思える作品でした!

ベスト10には入らないかもしれないけれど、あったかくなれる一本です!
MAIKO

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