磨

ボイリング・ポイント/沸騰の磨のレビュー・感想・評価

3.4
ロンドンの高級レストランを舞台に、全編90分ワンショットで捉えたヒューマン・ドラマ。
「1917」のような擬似ワンカットではなく、正真正銘ノー編集&ノーCG。それだけで観る価値があると思った。

ある特定の場所で起きるゴタゴタ劇、なんとなく想像できたのが、三谷幸喜監督が得意としていそうなジャンルだなぁ‥と(実際にワンカットの作品も存在する)
ただ、三谷作品はコメディなので、リアルな人間ドラマが展開する本作とはやや趣が異なる。

冒頭からトラブル続きでわちゃわちゃの店内、ストレスフルで“沸騰寸前”のスタッフたちを映し出すのに究極の緊張感が必要とされる[ワンカット映画]が実に効果的。もはや最後の方は演技ではなく素の顔かと思うほどの緊張の中での撮影が容易に想像できる。

飲食店で仕事したことある人ならあるあるとして楽しめる(嫌なこと思い出す、ともいう)かも。
飲食じゃなくても接客業ではなぜか忙しい時を狙うように立て込む事が多い。そんな時に限って本社からの電話…なんだそれ、知らんがな‥と(笑)

アイデアや撮影技術はかなり凄いしけっこう楽しめたけど、結局は狭い世界の話だし、やたらリアルなトラブル続きで笑える場面が無いのは個人的には及第点かな?

何よりも、飯映画なのにご飯が美味そうじゃないのは痛い。そもそもイギリスのレストランに過度な期待はしちゃいけないけど…。
磨