かこ

ウーマン・トーキング 私たちの選択のかこのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

🖋️
赦すか。闘うか。それとも……
女性たちは自ら未来を切り開くことができたのか?

まだ最近の出来事ということに、衝撃を受けました。既にYouTubeなどで視聴済みの方もいると思いますが、2005年から約4年間にわたり、ボリビアで実際にあった事件。それを映画化、製作陣にはブラピも加わっています。

本来なら牛に使用する麻酔スプレーを人間に噴射、意識を失わせ、女性に対し性的暴行を加えていた。
目覚めた被害女性はアザ、血、体液に塗れた姿にショック、パニックを起こす。そして被害者のなかには誰の子かわからない子を妊娠し出産する場合もある。
それを作り話し、悪魔の仕業だと言い切る風習。あ、悪魔??? 悪魔の仕業だと??? 理解するのに相当なカロリーを要する…もちろん理解不可能。理解できるわけがない。
中には3歳の女の子も被害にあっていたそうです。

自給自足の生活で、女性の1番の優先順位のは家事。教育はほぼ受けられず読み書きは出来ないに等しい。男女とも各々制服のように皆同じ服の着用義務、女性は編み込みヘアがマスト!異様な雰囲気です。

ザッとこんな感じですが、本作はレイプ被害を受けて、今後の自分たちをどう生きるのか?女性たちの話し合いにフォーカスされています。会話劇で見応えあり、です🔥

小さな村で村民が少ないといっても、みな様々な意見を持つ。話し合いに最初から参加しない人、神父や長老の意見が大切だ、レイプされても尚、男性に意見をした事がないから躊躇う。その他、それぞれの感情が静かに、時には激しく溢れ出す。

わたしが一番印象的だったのが、
これから自由になったとして、自分を解放したら、その後の生き方を決めなくては、と被害者のひとりオーナが皆に言ったとき。
激しい議論を繰り広げていた女性たちがいっせいに黙り込み、不安げな皆の顔をカメラが映し出す。

彼女たちはこれまで同じルーティーン、皆同じレールの上を歩いてきた。長老の意見に従い、男性を頼りにし、男性第一を考えた生活。でもそのレールが切れて先が無くなったら、どのように生きていけばいいのかが想像ができない。読み書きも出来ないならいっそのこと、このまま村に居た方がいいのでは?と諦めに近い考えさえ浮かんでくる。
時間が経てばこの事件のことは忘れるからと。決められた生活が楽(ラク)だったのかもしれない。

女性たちは違う意見をまとめ、それぞれを尊重し、村に残る子どもたちの事も考え、誰とも闘わず未来へ進む結論を出す。
これ以上暴力に耐えてはいけない、憎い男性に対しても暴力で返すべきではない、暴力を避けるために闘わず自ら村を出ていくことを決意する。

この話し合いが本当に凄くて、内容が濃い!
大袈裟に言うと教会の神父や男性が村を仕切る、ある意味独裁国家みたいな村に、民主主義が生まれるかどうか?と言っても過言ではない気がする。

実際に違う意見をシェアして、今までなかった道を切り開いた女性たち、簡単なことではないから本当に素晴らしいと思った😭✨

ひとり一人の夢を読み上げられるなか、出発の準備をする女性たちは男性以上に大きく見えました。

もうね、すっっっごくいい映画でした😭🔥
レビュー長くなったけど、ぜひ観てほしい。
こういった映画も必要だと思ったなぁ。
かこ

かこ