cyphさんの映画レビュー・感想・評価

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ゴダールの映画史 第7章 宇宙のコントロール(1998年製作の映画)

3.8

これまでの章と比べ語りが一貫していてリファレンスボタン早押し難易度低く助かった 宇宙のコントロールに成功したのはヒッチコックとのこと 誰も映画の本筋は覚えていない しかしハンドバッグは、砂漠のバスは、>>続きを読む

ゴダールの映画史 第6章 新たな波(1995年製作の映画)

3.9

ゴダールみずからが振り返るヌーヴェルヴァーグ 他のどの章より感情的に響く 長く長く引用される大人は判ってくれないの浜辺を走るジャンピエールレオ そこに重なる現金に手を出すなのジャンギャバン あるいはト>>続きを読む

ゴダールの映画史 第5章 絶対の貨幣(1995年製作の映画)

4.0

ラストの戦後イタリア映画への真っ直ぐなラブレターに思わず落涙 単なる手放しの賛美ではなく、現在為されないことがなぜイタリア映画には成し得たのかの考察 映画史

セルビアでの虐殺を黙殺するヨーロッパ政府
>>続きを読む

ゴダールの映画史 第4章 命がけの美(1994年製作の映画)

3.8

上裸に真っ青なサンバイザーを被って葉巻をふかしながら机に向かうゴダール、よい 命がけの美 徴(しるし)は至る所に 銃を見せるカメラは男性性器の位置に、女性を見せるカメラは胸の位置に 愛の物語の奥には乳>>続きを読む

ゴダールの映画史 第3章 映画だけが(1994年製作の映画)

3.9

セルジュ・ダネーとゴダールとの対話 映画が20世紀の産物だという通説に基づけば20世紀の真ん中・映画の真ん中に位置したヌーヴェルヴァーグこそが映画史を語るにふさわしいと語るダネーに対して、映画は19世>>続きを読む

ゴダールの映画史 第2章 ただ一つの歴史(1989年製作の映画)

3.9

「映画は情報産業などでも娯楽産業でもなく仮面の産業 化粧品の産業だ」セックスと死という二つの大きな物語に取り憑かれていて、物語への信仰を観客に要求するキリスト教としての映画、嘘の産業でもあり、技術でも>>続きを読む

化け猫あんずちゃん(2024年製作の映画)

4.7

奇跡みたいな作品だ 公開前から観たかったけど体調的に行けなくて心残りだったので見逃し上映に感謝 にしてもこんなにいいとは!ロトスコープ、どちらかというと苦手寄りですらあったけど山下監督×いまおかさんの>>続きを読む

ゴダールの映画史 第1章 すべての歴史(1989年製作の映画)

4.0

他部署の先輩の幼なじみという遠い縁で貸してもらったDVD 本編再生中にそのシーンで引用されている映画、文学、絵画、音楽の解説を参照できるDVDって初めて触った 元値も高いしさすがに高騰しすぎで手が出な>>続きを読む

フルスタリョフ、車を!(1998年製作の映画)

3.7

これも友だちに借りたDVDで鑑賞 演者に演技指導して撮影班に指示してって作り上げられたものだと思えない、なにも信じられない というくらい破茶滅茶で情報過多でやりすぎだ このショットがあったらもうこころ>>続きを読む

ラルジャン(1983年製作の映画)

4.9

『白夜』を除いてブレッソン長編完走記念に友だちにもう一度DVD貸してもらい再見 相変わらず凄まじい映画だ イメージと音の芸術の極致 って思ったら4年前の感想でも極致極致言っててなんか恥ずかしい 『たぶ>>続きを読む

オズの魔法使(1939年製作の映画)

3.9

ロボット・ドリームズの文脈と、木下惠介版楢山節考の文脈からいよいよこの往年の名作を観るタイミングが来たのだと知り鑑賞 聞いてた通り恐ろしくキッチュでサイケなミュージカルだ!ヤバすぎる撮影秘話の方を先に>>続きを読む

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.1

なんかよさそうって思ったその夜に好きな人間と近所の映画館に観に行けてまるっとよかった シンプルすぎるロボットとシンプルすぎる犬とが踊ってるだけでこんなにも直接こころを揺さぶられて顔がびしょびしょになる>>続きを読む

楢山節考(1958年製作の映画)

3.6

この舞台設定で全編オールセット撮影なの気が狂ってる 同じセットで楢山節考100バージョン撮られてほしい…… 隣の家の白米を盗み食いして叱られる可哀想な宮口精二 とにかく白米をあぐあぐ食べたくなる けさ>>続きを読む

山椒大夫(1954年製作の映画)

4.0

神保町シアターの田中絹代特集で鑑賞 原作についてざっくり予習した上で臨んだけど、その取捨選択とクローズアップとが生々しく際立ちよかった なんといっても安寿の入水シーン 時が止まる美しさってこういうこと>>続きを読む

はなれ瞽女おりん(1977年製作の映画)

3.8

岐阜は柳ヶ瀬商店街のロイヤル劇場、35mmフィルム映写機のみで上映し続けてる名画座(!)を目的地のひとつに定めてこの作品を観に行った 大人600円という価格設定がタイムスリップ感を増す 知ってる俳優が>>続きを読む

ブローニュの森の貴婦人たち(1944年製作の映画)

3.6

原作ものだからもあるだろうけどこれもブレッソンぽくはない、別れたての男女の陰謀や執着の話 教会を飛び出した新郎が車の角度変えるために何度もバックして戻ってをするたびに諸悪の根源の元カノがフレームインす>>続きを読む

皆殺しの天使(1962年製作の映画)

3.6

いつか観たいと思ってた作品が映画館にかかるとうれしい あらすじもシュルレアリズムの文脈も繰り返し耳にしてたけど思ったより過酷サバイバルでストレスフルだった とにかく時間が弛緩したまま飢えや不安や攻撃性>>続きを読む

罪の天使たち(1943年製作の映画)

3.7

これもDVD貸してもらって観た ブレッソン、長編デビューこんなドラマドラマしてるんだ!とびっくりしつつ怒涛のラストでしっかり刺される 女子修道院モノ、すぐ思いつくのはベネデッタやリヴェットの修道女とか>>続きを読む

ジャンヌ・ダルク裁判(1962年製作の映画)

4.1

友だちにDVD借りて鑑賞 やっぱりブレッソンってもうシンプルにかっこいいな オープニングクレジットのジャンヌの母の背中に男2人の手が添えられてるショットからその筆致と美学がありありと伝わって痺れる 『>>続きを読む

ピアニストを待ちながら(2022年製作の映画)

3.9

友人が助監督してるので鑑賞 あらすじ聞いたときはついていけるかしらと思ったけどカメラがずっとよくて(後期ゴダールみたいな透明感とコントラスト)引き込まれながら観た 目を開けながら見る夢 映画の文法、あ>>続きを読む

イメージの本(2018年製作の映画)

-

数晩に分けて寝る前に少しずつ観た 映画史の予習にと思ったけど映画史まだ自分には早いかもと不安になる キートン、めまい、アトランタ号、リュミエール、カラビニエ、、断片すぎてぜんぜん覚えてられない アラブ>>続きを読む

ウンベルトD(1952年製作の映画)

4.7

マイオールタイムベストネオレアリズモことウンベルトDがいつの間にprimeに来てる!!となって再見 やっぱりこの映画のことが本当に好きだ 自分の命が犬1匹分の重さになっちゃったことがあるひと(ある気が>>続きを読む

ポーラX(1999年製作の映画)

3.9

こてこてセカイ系だ 世界の陰惨さや残酷さに憧れを持ちつつふたつのお城を父の遺品のバイクで行き来しながら優雅に去勢されて暮らすボンボンの若造が、都合よく飛び込んできてくれた"顔"ことイザベルの"おかげで>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

3.9

ひとは与えることでしか得られない、他人の中に見る自分のことしか(あるいは失われた家族の影しか)愛せない てことをしつこいくらい描いててそりゃこんなんいい映画ですわ スケート ボウリング 駐車場のチェリ>>続きを読む

ジャン・ルノワールの小劇場(1970年製作の映画)

4.2

特集上映最終プログラムに観たかった遺作!と鼻息荒く観た、4つの寓話が舞台の中で順に演じられるのだけど1,2話でおん?となり、3話でおお!となり、4話で号泣 ルノワールこそ寛容という美徳、自由への信念の>>続きを読む

(1951年製作の映画)

3.8

初カラーでこの映像美!と感嘆する ずっと続くモノローグに思春期の少女とわたしの鬼門がふたつも揃っててのめり込むのは難しかったけど、インドの河のスケッチには心底惚れ惚れした 木下惠介は本作に感銘を受けて>>続きを読む

アワーミュージック(2004年製作の映画)

4.3

奇妙な戦争で意識して以来ずっと観たかった作品 「NYを拠点にする私ですら悪夢にうなされます ハイファの友人の悪夢は敵ではなく自分自身だそうです パレスチナの悪夢 それが出発点 約束の土地 許し合うこ>>続きを読む

捕えられた伍長 4Kレストア(1962年製作の映画)

4.7

濱口竜介&三宅唱アフタートーク付き回で鑑賞 ルノワール特集に連日通うことで昨日観た『この土地は私のもの』に引きつけて観れてすっごくよかった 敗者がその尊厳を守るための唯一の手段、それは脱走 休戦中とは>>続きを読む

自由への闘い(1943年製作の映画)

4.3

ラストのスピーチ以降ぼろぼろ泣いてしまい飯田橋駅までしゃくり上げながら帰った ルノワールが渡米後にナチス占領下の祖国を舞台にとった作品 ドイツ軍の恐ろしさではなく、ドイツ軍の支配にアレコレ言い訳しなが>>続きを読む

美容室(2015年製作の映画)

3.8

これも同じくリクエストしたらFilmarksが作品登録してくれたみたい ハイファのアラブ人地区でイスラエル人として暮らすアラブ人女性たちへのインタビュー短編 ハイファの美容室で見習いとして働き、洗髪を>>続きを読む

ここは、わたしの土地(2014年製作の映画)

3.9

いつの間にFilmarksに登録されてたのに偶然気がついた(お問い合わせフォームでリクエストしたのが通ったのかも) ユダヤ人学校、アラブ人学校、そしてユダヤ人とアラブ人が共に学ぶイスラエルの共学校での>>続きを読む

恋多き女(1956年製作の映画)

4.3

『ゲームの規則』で『黄金の馬車』でちょびっと『ラ・マルセイエーズ』だ、最高!最初ちょっと話が複雑でポカンとしていたけど、最早説明不要と言わんばかりにあらゆる運動(それは部屋を跨いでの追いかけっこでもあ>>続きを読む

黄金の馬車(1953年製作の映画)

4.1

こんなん泣いちゃう、ネオレアリズモの遺伝子とルノワール印の舞台=人生の二重構造とがアンナ・マニーニャという身体を通して交わり爆発してる ルノワールが旅一座という奇妙な存在を愛していてうれしい たとえば>>続きを読む

獣人(1938年製作の映画)

3.8

呪われた遺伝を抱えたジャン・ギャバンと呪われた過去を持つシモーヌ・シモンの不倫の愛 ちょうどアリバイがなくて言葉遣いが粗暴ってだけで冤罪にかけられる役回りで登場するルノワールが犯罪的にチャーミング つ>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.2

現代の映画作家シリーズ 『ジャン・ルノワール 第三部 規則と例外』の予習のために再見 オクターブがルノワールって知ってから観るとますますこの野郎、最高♡ となる オクターブが一発逆転の夢を捨てて現実>>続きを読む

素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)

3.9

ミシェルシモン劇場だ コルドリエ博士しかり、人間社会に獣を紛れ込ませることで人間社会の形骸化しかけた輪郭をシニカルかつユーモラスになぞってる "良識のある"小金持ち家庭をミシェルシモンが縦横無尽に跋扈>>続きを読む