cyphさんの映画レビュー・感想・評価

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自由への闘い(1943年製作の映画)

4.3

ラストのスピーチ以降ぼろぼろ泣いてしまい飯田橋駅までしゃくり上げながら帰った ルノワールが渡米後にナチス占領下の祖国を舞台にとった作品 ドイツ軍の恐ろしさではなく、ドイツ軍の支配にアレコレ言い訳しなが>>続きを読む

美容室(2015年製作の映画)

3.8

これも同じくリクエストしたらFilmarksが作品登録してくれたみたい ハイファのアラブ人地区でイスラエル人として暮らすアラブ人女性たちへのインタビュー短編 ハイファの美容室で見習いとして働き、洗髪を>>続きを読む

ここは、わたしの土地(2014年製作の映画)

3.9

いつの間にFilmarksに登録されてたのに偶然気がついた(お問い合わせフォームでリクエストしたのが通ったのかも) ユダヤ人学校、アラブ人学校、そしてユダヤ人とアラブ人が共に学ぶイスラエルの共学校での>>続きを読む

恋多き女(1956年製作の映画)

4.2

『ゲームの規則』で『黄金の馬車』でちょびっと『ラ・マルセイエーズ』だ、最高!最初ちょっと話が複雑でポカンとしていたけど、最早説明不要と言わんばかりにあらゆる運動(それは部屋を跨いでの追いかけっこでもあ>>続きを読む

黄金の馬車(1953年製作の映画)

4.1

こんなん泣いちゃう、ネオレアリズモの遺伝子とルノワール印の舞台=人生の二重構造とがアンナ・マニーニャという身体を通して交わり爆発してる ルノワールが旅一座という奇妙な存在を愛していてうれしい たとえば>>続きを読む

獣人(1938年製作の映画)

3.8

呪われた遺伝を抱えたジャン・ギャバンと呪われた過去を持つシモーヌ・シモンの不倫の愛 ちょうどアリバイがなくて言葉遣いが粗暴ってだけで冤罪にかけられる役回りで登場するルノワールが犯罪的にチャーミング つ>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.0

現代の映画作家シリーズ 『ジャン・ルノワール 第三部 規則と例外』の予習のために再見 オクターブがルノワールって知ってから観るとますますこの野郎、最高♡ となる オクターブが一発逆転の夢を捨てて現実>>続きを読む

素晴らしき放浪者(1932年製作の映画)

3.9

ミシェルシモン劇場だ コルドリエ博士しかり、人間社会に獣を紛れ込ませることで人間社会の形骸化しかけた輪郭をシニカルかつユーモラスになぞってる "良識のある"小金持ち家庭をミシェルシモンが縦横無尽に跋扈>>続きを読む

牝犬(1931年製作の映画)

3.9

ミシェルシモンが女を殺すシーンの静かに血が煮えたぎるかんじ、最高!!フレーム内フレームという演劇装置として、あるいは外と内とを繋ぐ停留点としての「窓」の映画だ 冴えない会計士としてのルグランと愛人を囲>>続きを読む

人生の高度計(1933年製作の映画)

3.8

ドロシー・アーズナーはサレ妻の孤独・絶望・見栄・喪失感・幸せの絶頂から突き落とされた先で唯一手に残る自分らしさを司る美徳(たとえばそれは頑固さとか)をミニマルかつ的確に描いてくれてそれがほんまにありが>>続きを読む

ランジュ氏の犯罪(1936年製作の映画)

4.0

前半はもだもだとするけど列車事故のところから加速度的に面白い!内気な主人公の妄想に過ぎなかったアリゾナ・ジムが組合みんなの夢となり希望となり仲良く表紙用の撮影して物語にみんなを登場させて映画化記念のパ>>続きを読む

ラ・マルセイエーズ(1938年製作の映画)

3.8

『第3部 規則と例外』の予習のために観た 観てきたルノワール作品の中でもダントツに群衆群衆そして群衆 ひとりの脱走者から物語が動き出し、そしてマルセイユ義勇軍が結成される 彼らの無邪気な人のよさ、パリ>>続きを読む

マッチ売りの少女(1928年製作の映画)

3.6

原作をなぞるだけかと思いきやマッチを擦って夢空間に入ってからはめくるめくシュルレアリスム的ファンタジー空間へ まさか運命のひとと死神とが雲の上で騎馬追いかけっこまであるとは 美しい男が入っていった裕福>>続きを読む

プロミス(2001年製作の映画)

4.6

アジアンドキュメンタリーズでいくつかイスラエル・パレスチナ問題をめぐるドキュメンタリーを観てきたけどこれがいちばんひとに薦めたくなる作品だった 第二次インティファーダが起きるまでの比較的平穏な時期だっ>>続きを読む

コルドリエ博士の遺言(1959年製作の映画)

3.6

ルノワール、こんなんも撮るんだ!ていうパニック映画的なSFサスペンス 冒頭フランス国営放送局にルノワールが招かれてスタジオ入りするとこから始まるのがギトリみたいなお茶目さでいい 手に負えない危険人物オ>>続きを読む

「ピクニック」の撮影風景(1994年製作の映画)

3.8

ルノワールの演技指導と合わせて観ることでルノワールが30年代の頃から既に一見大らかにしかしその実極めて厳密に映画を演出していたかがわかる カット!の代わりにボン!メルシ!で毎回切るのが気持ちよくて、さ>>続きを読む

ピクニック(1936年製作の映画)

3.9

3年前に観たときはいまいち良さわからなかったけど改めて見直したらたまらない スクリーンで観たからか、単に二度目だからか こんなに欲望や浅はかさや煌めきをフラットに撮ることもできるんだね 全体通して大ら>>続きを読む

オスロ・ダイアリー(2018年製作の映画)

4.0

すごく観てよかったけど、ここまでパレスチナ側が妥協に妥協を重ねて、殺し合いではなく和平を、と口々に言い合って結ばれた和平合意も結局イスラエルのガザ侵攻ではちゃめちゃに反故されるんだよな〜〜と思うとハー>>続きを読む

兵役拒否(2019年製作の映画)

4.0

これもすごく観てよかった イスラエルでは19歳になったら性別関わらず全員が徴兵されるそうで、イスラエル軍に奉仕することは国民の義務にして誇りと思われてる そんな中で、自国のパレスチナに対する暴力的な行>>続きを読む

The Viewing Booth(原題)(2019年製作の映画)

4.0

パレスチナでの現況を映像の力を通じて打破したいと願うイスラエル系の映画監督が、ボランティアで募ったアメリカの大学生に40本のショートビデオを見てもらう、それだけの映画なのにこの上なく感情を刺激されてス>>続きを読む

ガザ 自由への闘い(2019年製作の映画)

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『シンドラーのリスト』観て、最悪のかたちで尊厳を奪われた数多のユダヤ人への追悼の気持ちと、その一部の子孫たちがパレスチナ人を人間動物としてその土地を文化を尊厳を蹂躙するかたちでイスラエルという立派な国>>続きを読む

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

4.1

長さに二の足踏んで一生見れないかと思ってたけどアメリカン・ストーリーズを足がかりに観れた(廣瀬純さんの新刊の「スピルバーグのクセ」章を確かめたかったのもある) スピルバーグ久しぶりに観たけどやっぱり映>>続きを読む

放蕩娘(1981年製作の映画)

4.2

ジェーン・バーキン×ミシェル・ピコリが送る袋小路&近親相姦一歩手前の父娘モノ ドワイヨン初めて観たけど家族という小宇宙の閉塞感や沸点の低さをドライかつ的確に描いててめちゃ推せる 精神不安定な娘が夫との>>続きを読む

モデル・ショップ(1969年製作の映画)

4.7

わたしのためにつくられた同人誌かと思った!!!!坂本安美さんの前説の通り、ドゥミとは思えないくらいドライなタッチでロサンゼルスという街を撮っててそれも痺れるのだけど、アヌーク・エメ演じるローラにもう一>>続きを読む

アメリカン・ストーリーズ/食事・家族・哲学(1988年製作の映画)

3.8

見逃していたアケルマン ニューヨークの夜の波止場で自身の半生を語るポーランド系ユダヤ人たち 冒頭、「村」「森」「祈り」「神」がキーワードの寓話が語られつつピカピカに光るマンハッタンの夜の摩天楼が船上か>>続きを読む

都会のひと部屋(1982年製作の映画)

3.7

観たかったやつがスターチャンネル入ったの報を受けスターチャンネルお試しで入って観た シェルブール式のぜんぶの台詞が歌のやつあんまり好きじゃないけど、晩年のドゥミが故郷ナントにカラーフィルム携えて舞い戻>>続きを読む

キートンのカメラマン(1928年製作の映画)

3.3

かなり乗れなかった、全体的にエモすぎてもはや別物 感情表現がギリギリまで削がれて引きで映る体全体の運動だけで意思を表現するのがキートンのいいところなのに、娘に惚れたことを示すシーンが長々繰り返し続いて>>続きを読む

キートンの恋愛三代記/滑稽恋愛三代記(1923年製作の映画)

3.7

キートン初長編作、とのことだけどセットにお金使いすぎなのか疾走感はあんまりない 寓話すぎる 石器時代のしならせた枝の反発で跳び上がってライバルを倒すやつ、ローマ時代の犬ぞりバトルや白馬に立ったまま乗っ>>続きを読む

荒武者キートン/キートンの激流危機一髪!(1923年製作の映画)

4.2

滝に落ちかけたヒロインを助けるアクション、わっはと声出てしまった このすんごい身体を運動を見てる!!となる 短編でも繰り返し演じられた憎み合う(本作に至っては代々殺し合うfeudに縛られた)両家の娘と>>続きを読む

捨小舟(1923年製作の映画)

4.0

原題love nestなのでラブい話かと思いきやそういう名前のついた捕鯨船に拾われてすんごいパワハラ受ける話だった 失恋をきっかけに船旅に出ることを伝える元恋人への手紙の便箋を左右片側ずつぬぐった涙で>>続きを読む

キートンの蒸気船/キートンの船長(1928年製作の映画)

4.1

有名な家の前面が倒れてくるやつ目当てで観た こんなショットが一個あるだけですんごいのにそれが天丼ギャグとして繰り返されていく終盤15分の恐ろしい加速&出力!大嵐によってあらゆる家が崩れ落ち飛び去り慌て>>続きを読む

キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

3.8

20分の短編のリズムに慣れてしまうと長編(といっても70分とかだけど)のキートンは序盤の50分くらいがアクロバティックゼロのドラマパートでうずうずしてしまう…もっと人外じみたアクションを観たい!本当に>>続きを読む

キートンのハイ・サイン(1921年製作の映画)

4.3

からくり屋敷のドタバタが奇跡の洪水みたいで楽しすぎ からくり自体はシンプルなのにそれが数珠繋ぎになって&キートンの天性の強運とが奇跡的に噛み合って悪党たちを一網打尽にしていく痛快さ 囚人13号はワンア>>続きを読む

キートンの囚人13号/ゴルフ狂の夢(1917年製作の映画)

4.0

これも運動運動で楽しい(ぜんぶそうか) 下手なりにゴルフを楽しんでたらいつのまに囚人服に着せ替えられて絞首台へ、のスピード感最高 わかっててもゴム紐でびよんびよんするキートンのおかしさ guard a>>続きを読む

キートンの強盗騒動/悪太郎(1920年製作の映画)

4.0

The Goat (旧邦題『悪太郎』なのおもろ) パンの配給に並んだ列、車体の下に隠れた自動車、最後尾車両に飛び乗った機関車、後ろのタイヤにしがみついた自動車、あらゆる運動から切り離されキリッとした顔>>続きを読む

キートンの化物屋敷(1921年製作の映画)

3.6

銀行員のキートン、シャーロックJr.冒頭にもあった糊ギャグだけで引っ張り続ける前半は正直そんなに面白くないけど、後半のインチキ化物屋敷で行く先々でビビらされながらかけずり回るキートンは面白かった ビビ>>続きを読む